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郊外型ベッドタウンである防府市は、そこに住む人々の変化を追うように、買物、食事店ともにロードサイドのチェーン店に押され、グルメ不毛の地に成り下がる。
かつてその名を知らしめた、トンカツ「ニュー豚」、関西風お好み焼「一番」、広島風お好み焼「良子」といったこだわりの店は姿を消し、大きな看板を背負うそれなりの店がようやく生き残る惨状。
そんな地で、小粒ながらも光り輝く店を紹介していきたい。
和食 欧州 洋食 その他
防府市
和食
 
 

天壱
(和食)
場所:防府市天神2丁目3-7(天神商店街中央)
電話:0835−20−0211
かわはぎ刺身(姿造り) 2700円
殻付き牡蠣の焼物 2000円
ちゃんこ鍋(一人前) 2600円

天満宮への表参道にある居酒屋。素材にこだわる、おいしい和食を味わえる。メニューは、カウンター前の黒板の中から。その日仕入れたおいしい素材を味わえます。かわはぎ姿造りは、肝をといた醤油でいただく、新鮮な味がそのままに楽しめる一品。ちょっと他じゃ見かけない、おすすめ料理。そして、ここのもう一つのうりは、ちゃんこ鍋。あっさりだしの上品な味わいでお酒の締めにもってこい。最後は、雑炊を作ってくれるのも嬉しいとこ。
値段から分かるように、ちょっといいおいしい料理とお酒を落ち着いた雰囲気でいただく、大人なお店。仲いい人と、家族で、ゆっくり過ごしたい時におすすめのお店です。ちなみに、ランチは完全予約制で実施中みたい。気になる方は、電話で確認を。
 
                                                    

 

割烹いちはな(鱧料理)
場所:防府市駅南町5−2
電話:0835−23−0187
時間:11時−14時、17時−21時、定休日:なし
お店HP
天神鱧フルコース 5250円
天神鱧ミニコース 3150円

瀬戸内海の好漁場により全国トップクラス漁獲量を誇るはもの産地・山口県は、西京はもというブランドにより、大消費地・京都や大阪へその多くを供給する。関西地方での高級魚・はもを、もっと手頃に、地元での消費を増やそうと始めた取り組みが、県内はも漁の拠点である防府市。天神鱧としてブランド化し、市内料理店で調理法を研究するはも塾を開催。夏場の旬のはもを、関西の半値程度、オリジナルの調理を加え出すことで、少しずつ夏の風物詩として根付きつつある。

元々、はも消費の中心は、京都。そして、鱧祭とまで称される京都の祇園祭を始め、関西の夏に欠かせないその理由は、高い栄養価にある。関東のうなぎに匹敵する夏バテ防止料理であり、旬は初夏。そんな関西鱧の供給地で、鮮度の高い旬の一品が食べられるということで出かけたのが、このお店。

扇屋というブライダルサロンの一角にあり、普段は割烹として営業しながら、鱧シーズンには防府市「はも塾」の一員として、天神鱧のコースを料理を食べさせてくれる。コースは、ミニ(3000円)とお造りや蒲焼等が付くフルコース(5000円)の2種類。単品でも注文可能だから、まずはミニコースを選ぶのがおすすめ。

ミニコースは、三味の落とし鱧として、湯引きの鱧を梅肉、辛子酢味噌、ポン酢ジュレで。さすがはプロの骨切り。骨の感触を一切感じさせない上、プリッとした弾力と広がるうまみが印象的。鱧シャブは、鱧の出汁でネギや豆腐とともに煮、特性ポン酢でいただく鍋料理。鱧は出汁のおいしさに特徴があるから、しっかりと出汁までいただく。

鱧尽くしは、油物として天婦羅、鱧押し寿司、鱧の吸物と続き、最後はデザート。天婦羅はロール状の鱧が食べ応えがあり、寿司は蒲焼風とちょっと変わった一品を楽しめる。

鱧を目当てに食事をしたことがなく、その印象は、プロが調理するとこんなにおいしくなるものなんだというもの。特に、骨切りによる湯引きの鱧は、全く小骨さえ感じさせず、見事鱧のおいしさを引き出していた。もともと味の強い魚ながら、それぞれ鱧自体を感じさせながら、料理の枠内にまとめていたバランスにも感心。

初めての鱧コースということで、少々評価が甘いところがある。ただ、ちょっとしたコースの一品として出てくる鱧料理とは、レベルが違うことは確か。一方、店自体の評価でいえば、ついたての仕切りのため隣同士の声がよく響き、個室とは程遠い。割烹を名乗り、高級魚・鱧料理を扱うからには、雰囲気、サービスともに物足りない。

今回の大いなる目標は、地元・防府市の特産料理を食すこと、そしてそれを世間に広めていくこと。訳あって(7月中旬までランチのミニコース千円引きだった。結局、夜利用となったが)、割烹いちはなで本格はもデビューしたが、もう少し天神鱧を出す店を巡り、夏の風物詩としてはも料理を楽しみたいと思う。

防府市のはも塾加盟店は、15店。ちなみにその塾長は、この取り組みの発起人の一人、さしみ亭「和加栄」の主人。実は、今回防府のはも料理に目が向いたのは、この店の愛好者からすすめられたからで、ちょっと気になる店でもある。また、夏の日差しを感じ始めたころ、防府の鱧めぐりに出かけることとしようかな。

 
                                                    

 

座庵(しゃぶしゃぶ)
場所:防府市東佐波令3158
電話:0835−26−6610
時間:11時30分−22時、定休日:水曜
つゆ豚しゃぶ(鹿児島黒豚) 2800円
牛しゃぶ(九州和牛) 3200円
つゆ豚コース(黒豚しゃぶ、小鉢、刺身、天婦羅等) 5000円

防府市街から徳地へ抜ける佐波側沿いの道路の途中、人丸水源地辺りにあるお店。道路脇に置かれた看板を目印に脇道へ入ることになるが、夜はなかなか見つけにくいから、要注意。

周りに何もない自然の中にたたずむ平屋建ての建物。内装は、黒を基調とし、木を効果的に配した落ち着いた造りとなっており、自然木による温もりある雰囲気が居心地の良さを演出する。個室はないようで、案内されたのは、6つのテーブルが配された広間。掘り炬燵式のテーブルに、のんびりとくつろいで過ごす。

ここの店を訪ねたのは、黒豚しゃぶを食べたかったから。鹿児島で食べたしゃぶのおいしさを思い、近場で食べられるなら一度は、との思いがあり。4人利用だったこともあり、まずはつゆ豚しゃぶ3人前と牛しゃぶ1人前、天婦羅盛り合わせを注文。他にもメニューには、魚しゃぶとゆばしゃぶがあり、一つの鍋で数種のしゃぶを食べられるのが、この店のいいところ。

黒豚のさっぱりとした脂身がおいしく、豚のおいしさを活かすしゃぶしゃぶという手法にあらためて感心。豚しゃぶのタレは、秘伝のつゆと称する和風だしのつゆを使用。柚子胡椒でアクセントを加え、いただく。和牛しゃぶは、適度にさしの入った肉で、湯を通した後も十分な柔らかさを感じ、なかなかおいしい。比べて食べると、牛肉の濃厚な味に引かれるところがあり、まずは豚から、その後に牛とそれぞれ別のタイミングで食べるのがいいような気がする。ちなみに牛しゃぶは、ゴマダレとポン酢を使用。やっぱりポン酢が合うと、終盤は豚もポン酢で食べてたりしたけど。

鍋物は、野菜をたくさん食べられるのもいい。白菜じゃなく、レタスがメインとなっていたのは、季節的なものか、店の方針かは不明だけど。その他、肉は、それぞれ単品で追加ができるのも嬉しいとこ。締めには、そばが出てくる。鍋で作り、豚しゃぶのタレで食べるそばは、思った以上においしく、おすすめ。

鍋は、家でも気軽に作れたりするから、なかなかそれを目当ての外食という機会も少ない。そんな中、ここは質のいい黒豚を始めしゃぶしゃぶにこだわった専門店で、これまであまり見られなかったスタイルに、ここを訪ねる価値を感じる。街中を離れた郊外の立地による利便性の悪さは少々欠点だが、そのため可能となった店内のゆとりある空間を思うと、家族や仲間とちょっとのんびりと食事をしたい時に、気軽に候補としたい店である。豚しゃぶという広まりつつあるジャンルの貴重な店として、これからも重宝していきたい。
 
                                                    

 
欧州料理

オステリア アンコーラ(イタリア料理)
場所:防府市栄町1−5−1 ルルサス1F
電話:0835−21−4550
時間:11時−22時、定休日:火曜
ピッツァランチ(ピッツァ、サラダ、パン、ドリンク) 1500円
パスタランチ(パスタ、サラダ、パン、ドリンク) 1500円
リゾットランチ(リゾット、サラダ、パン、ドリンク) 1800円
コース(前菜、パスタ、メイン、サラダ、パン、デザート、コーヒー) 3150円〜(2名より)

ルルサス1階に入っている、県内で展開しているおいしいイタリア料理屋アンコーラ。外から見える席は一部に過ぎず、奥の広い落ち着いた空間にテーブル席が用意されているから、安心を。
基本的には、メニューは他のアンコーラと似た感じ。ランチが用意されているのは嬉しいとこで、リゾットランチは他店で記憶にないから、防府店の特徴なのかなと思うとこ。

ランチは、それぞれ7種程度のピッツァやパスタから選べ、いろいろ選ぶ楽しさを味わえる。今回は、ピザとパスタのランチを一つづつ。ピザは、シンプルにマルゲリータを、パスタは、モッツァレラチーズのトマトソースパスタを選ぶ。もっちりとしたピザは、アンコーラの特徴。トマトソースのシンプルなおいしさを楽しむ。アンコーラパスタのトマトソースも、個人的なお気に入り。完熟トマトのコクを感じられる味わいは、そうなかなか出会えないもので。手打ちパスタを選んだため、麺のおいしさを味わえ、一層の満足感を覚える。

やっぱり、アンコーラのピッツァ&パスタは好きだなと、あらためて確信。値段の高さは、この店にどこまでも付いてくる問題。それでも、時にこの店を訪ねてしまうのは、それに優る魅力があるからだろう。店内は、落ち着いた、モダンな作りで、居心地がいい。駅前の商業施設・ルルサスにできた、貴重な空間。カフェ利用にしろ、食事利用にしろ、ちょっとした時に利用したい店である。

 
                                                   

 

ローマ
(イタリア料理)
場所:防府市上天神町9−17(防府天満宮前)
電話:0835−23−7179
スパゲッティー トマトソース 945円
スパゲッティー ペペロンチーノ 945円
スパゲッティー カルボナーラ 1260円
スパゲッティー アンチョビ 1260円
ラザニア 1260円
ピザ(ハーフ) 2310円
トマトとモッツァレラチーズのサラダ 1050円

雑貨とカフェの店として、駅横にあったローマが場所をかえリニューアルオープン。イタリア人のご主人による、家庭的なイタリア料理が食べられる店。雑貨は、欧州のお菓子やパスタ類が数点。食事の帰りに、軽く見る程度といったもの。

料理は、斬新でスタイリッシュさを追求したパスタという感じじゃなく、古きよきイタリアの家庭料理を想像させる、アットホームな味付け。仲間や家族と共に、わいわいと賑やかな雰囲気で食べるのに合いそうな感じかな。

メニューもシンプルなものが多く、まず選んだサラダは、トマトとモッツァレラチーズのサラダ。大皿に敷かれたレタスを始めとした葉野菜の上に、大きめカットのトマトとぶつ切りモッツァレラチーズが乗せられ、バルサミコ酢とオリーブオイルのドレッシングをかけた、シンプルな一品。ローストビーフをサービスで付けてもらい、まずは豪快にいただく。その大雑把な調理法に、NYイタリア街でのイタリアンを思い出しつつ、食べ応えのあるモッツァレラチーズと適度に酸味のあるドレッシングとの相性を楽しむ。

スパゲッティーで選んだトマトソースは、具材は一切なく、トマトソースのみのシンプルなパスタ。アルデンテの茹で加減といったものじゃないけど、少し太目のパスタは、もっちりとした食感とパスタのおいしさを味わえ、シンプルなトマトソースとの相性もなかなかよし。ピザ(ハーフ)は、厚めの生地で、食べ応えは十分。トマトソースと生ハムにたっぷりのチーズを乗せたもので、シンプルながら、おいしくいただく。

料理は、全体的に、紹介通りシンプルなものばかり。魚介や自家製の素材を使ったといった手の込んだ料理は、期待できない。メニューを見た時は、その種類の少なさから、少々寂しさを感じたもの。ただ味としては、注文時の心配をよそに、十分おいしさを楽しめるレベル。新しい料理を期待する楽しみは味わえないけど、どこか落ち着く家庭的な味を求めて訪ねるなら、十分の価値があるだろう。食べてる最中より、食べ終わって家に着く頃、また食べに行きたいなと思わせる、不思議な店である。

店内は、奥にテーブル席が5つ。スペースが少々狭く、人がいると、落ち着いて過ごせないような気もする。流行を追う店じゃないためか、そう客もおらず、あまり気にする必要がないかもしれないけど。イタリア人のシェフは、女性に対し気さくに話をしだすから、適度に男がリードする必要があるかもしれない。一生懸命答えず、話半分でやり過ごすのが、肝要だろう。基本のサービスは、奥さんらしい女性が気を利かせて対応してくれるから、問題ない。帰り際、会計の際の参考にと言うことで。

ランチはやってないみたいだし、店休日もまちまちで、目指すなら、連絡を入れて行くことを、おすすめする。話題のおいしい店の開拓を目的とするなら、おすすめしない。少し路線が違うし、そういう店は、他にいくらでもある。一緒にいて落ち着ける人と、気軽に時間を過ごしたいなら、この店の出番。料理と店の雰囲気が、その目的を演出してくれることだろう。

 
 
                                                    

 

Avanti - cafe
(カフェ)
場所:防府市栄町1-3-22(カリヨン通り)
電話:0835−25−3817
メディチ家風ミートクリームソース 850円
ピッツァカプリチョーザ 900円
本日のランチ

防府駅北口カリヨン通りにある、カフェ。一人で、友達と、ちょっとしたくつろぎタイムをおくることができる。しっかり食事ができるのも嬉しいとこ。ランチは週末にもあり、今回の本日のパスタランチは、アンチョビとタラコのカルボナーラ(サラダ・パン・ドリンク付き)、タコライスランチ(スープ・ドリンク付き)等々4種類ほど。

少々オーナーの趣味でやっている感が強く、そのサービスレベルには大きな疑問符。大きな期待をせずに、カフェっぽい空間を楽しむ程度の気持ちで利用するのがいいだろう。気持ちと時間に余裕があるとき、気軽に仲間と寄ったり、週末昼食がてらのんびり過ごしたい時に利用したい。
 
                                                    

 
洋食
 
 

紅屋
(ハンバーグ)
場所:防府市八王子1−28−18−1−F(防府市旧2号線沿い)
電話:0835−38−1001
時間:11時−14時30分、17時−22時、定休日:なし
紅屋ハンバーグランチ(サラダ・スープ・紅屋ハンバーグ) 1000円

防府で、おいしい洋食をゆっくりと楽しみたいなら、ここがおすすめ。店内の重厚な造りが、落ち着いた雰囲気を作りだし、ゆったりと配置されたテーブルにより、周りを気にせず食事と会話を楽しめる。
そこでいただくオリジナルハンバーグは、ふんわりとした柔らかな食感の中に、しっかりと肉の旨みを感じられるなかなかのレベルの高さ。そして、そのハンバーグを引き立てるのが、酸味の効いた特製紅屋ソース。さっぱりとしたソースと、ハンバーグの相性が絶妙で、またその味わいを求めて、この店を訪ねさせる。

サラダ・スープが付くランチの千円という値段も、魅力的。防府をお昼に訪問することがあるなら、一度利用してみることをおすすめする。
  
                                                    

 

レストラン とまと
(洋食)
場所:防府市新田804−3
電話:0835−23−4612
時間:11時−15時、17時−22時、定休日:火曜
オムライスセットランチ(帆立カレーソース焼、海老、魚のフライ、サラダ) 800円
パスタセットランチ(シーフードマカロニグラタン、ハーフパスタ、ライスコロッケ、スープ、サラダ、パン) 1030円
とろ〜りオムライス 750円

新田にある洋食屋さん。ちょっとおしゃれな家庭的な雰囲気のある店で、昼時に女性同士の利用が多いのも頷ける。メニューは、オムライスをメインに、豊富なセットが充実している。その他セットの中心となっているのは、パスタや、ハンバーグ、ステーキと洋食の王道が並ぶ。どのセットも、フライやグラタン等副菜が多彩なのが嬉しいとこ。
今回選んだのは、パスタセットランチ。パスタ、グラタン等は、典型的な洋食屋の味。専門店の繊細な味とは違うけど、気取らず食べられるほっとする安心の味が嬉しい。最後にドリンクまで付き、のんびりと時間を過ごすことができる。

料理に過大な期待をせず、気軽に利用する店と割り切るのがいいだろう。メニューは数十種類と、何度来ても楽しめそう。ちょっと気軽に外食したい時、友達とゆっくりと話をしたい時、この店を利用したい。
 
                                                    

 
その他
  
 

奥快餐(おこいさん)
(中華料理)
場所:防府市宮市6−18  (防府天満宮前)
電話:0835−22−0340
マーボー豆腐 740円
手羽肉の唐揚 630円
ラーメンセット(ラーメン・チャーハン・生野菜・シューマイ) 840円


防府天満宮前にある、個人的には吉佐管内(県央部)一の中華料理屋と目するのが、このお店。うまいマーボー豆腐とはなんぞや、って回答をきっと与えてくれるはず。炒飯もおいしいけど、決してマーボー豆腐と一緒に頼ませてくれないのも、ここのこだわり。辛いマーボーとしっかり味付けの炒飯とはあわないからだとか。どうせなら、家族で、仲間でと大勢で。小龍包やお粥、餃子に八宝菜とちょっとづついろいろとが中華の楽しさだろうから。ボリュームもたっぷり、ぜひ一度利用してみては。
 
                                                    

 

インド料理 パラタ(インドカレー)
場所:防府市鋳物師町9−40(防府駅方面、三田尻病院近く)
電話:0835−38−1020
時間:11時30分−15時、17時30分−22時、定休日:月曜(祝日は翌日))
アグラセット(小サラダ、タンドリーチキン1/2、チキンカレー(小)、ナン、小ライス)  1050円
タンドリーチキンセット(小サラダ、パーパド、タンドリーチキン、海老カレー、ナン) 1600円
キーマカレーセット(タンドリーチキン1/2、ムルグディッカ、シシカバブ、キーマカレー、ナン) 1600円

すっかり防府の町になじんだインドカレーの店で、カフェのような雰囲気の中、ゆっくりと過ごせる空間は、女性から圧倒的な支持を受ける。料理は、カレーの本格的な味わいに留まらず、タンドリーチキンやシシカバブ等インド料理が揃うのも、嬉しいところ。

防府にとっては貴重なお店ながら、この辺からは好みの差。山口市のインドカレー店・シバを髣髴とさせる甘みのあるカレーは、辛みの調整で消えることがないこの店の特徴の一つ。インドカレー好きながら、どうしてもシバを紹介する気にならないのはその辺にあるのだが、やはりインドカレーには刺激的な辛みと、コクのある奥深い味わいを求めたい。

女性を意識したこじゃれたセットもいいが、カレー・ナンセットの標準タイプが千円からでは、少々高め。次のステップとなる1600円台で、それに見合う満足度を味わうことは難しい。セットで、カレー種類の選択肢がないのも、残念。単品ではお得感がないし、この店では、毎度同じカレーのセットを頼むことになりそう。

タンドリーチキンは、驚くほどのボリューム。その味わいと共に十分満足いくが、ナン・カレーのメインを思うと、ハーフサイズのセットにする方が無難だろう。どうせなら、4人程度で訪ねて、タンドリーチキンやシシカバブ等単品で頼み、皆で取り分ける方がいいかもしれない。

もう少し工夫すれば、もっと満足度が高まるのにと思うが、週末は満席になるなど、既に十分根付いているから、余計なことを言うこともないかな。防府市に、この手の上質な店が限られる現状から、今でも十分ランチの候補としておすすめできる店である。

 
                                                    

 

プッチーニ グラントップ(ダイニングバー)
場所:防府市天神1−4−1 1F
電話:0835−25−3616
時間:18時−24時、定休日:不定休
お店HP
天然鯛と生タコのカルパッチョ 1295円
フランス産ノワールドビゴール豚のパンチェッタサラダ仕立て 1580円
飛騨牛ボロネーゼスパゲティ 1390円
パルミジャーノとバターのリゾット 1450円
ピッツァマルゲリータ 2780円
桜鯛のポワレ白ワインレモンソース 1380円
フランス産ノワールドビゴール豚のロティ 3150円
コース 3900円〜18000円

防府駅東、ジェスパ(懐かしい)跡地の駐車場を線路沿いにさらに東に進み、飲食店街の一角に位置するビル1F。ビル前や通路に看板はなく、そのスナックのような入口は、ここの存在を知らない者を決して近づけない。なるほど、それで散々に迷い、道路脇に陣取るタクシー運転手にも、酒屋のお兄さんに聞いても、この店の存在を知らないのかと。(地図持参、もしくは携帯電話を忘れなければ、こんなことにはならないが)

店内は、落ち着いたカウンター席の他、個室、もしくは半個室×2となる座敷席から。1/2座敷席を4人で利用すると少々狭いが、半個室の気軽さからついつい長居する居心地の良さ。メニューは紙打ち出しで、その時期の食材を楽しんでもらおうという気持ちが伝わる。メニューには、プリモピアット(第一の皿)、セコンドピアット、魚メイン、肉メインと並び、まるでイタリア料理の店だが、創作的な色合いが強いから、ダイニングバーの部類に入るのだろう。

メニュー表に載る料理の種類だけで50種類近くあり、それぞれにおいしそうなネーミングが付く。そして、メニュー以外にも柔軟に対応してくれるのが、この店の特徴でもある。地元産のタコのカルパッチョを楽しみつつ、そこに添えられたトマトのおいしさからメニューにないトマトスライスを注文するに留まらず、クリームソースしか選択できないタラコパスタを、和風でとリクエストし、シーフードがたっぷりと乗るペペロンチーノ風味に仕上げてくれたり。サービス精神はさらに旺盛。料理を出すのが遅れたからと特上日本酒サービスに加え、記念にと握り鮨を4貫ほど。そのためだけに、酢飯を作る姿に感心する。

自慢の食材を味わおうと、フランス産ノワールドビゴール豚は、パンチェッタとロティを選択。さすがにパンチェッタは、ノンアルコールで味わうには塩分強すぎ、ペペロンチーノあたりで活かしてほしいと思いつつ、ロティは、その名の通りローストにより脂身のおいしい豚のおいしさをシンプルに引き出し、なかなか満足。素材そのものの味わいをと、ソースもバルサミコ酢ベースとシンプルなところに特徴。飛騨牛は、タンシチューで。赤ワインがずっしりとくる濃厚な味わいながら、まあこういう店でタンシチューまで出そうという意気込みだけで十分満足。

思えば、メニュー表にない牛蒡の素揚げは、どうやって注文したのか。少々きつい塩分が気にならないことはないが、揚げた牛蒡のおいしさに、ビールも進むはず。まずは常連ぶって、このあたりを注文しておくと、ゆっくりメニューを見て幾多の中から料理を選ぶ余裕も出てくるはず。

やろうとしている方向性は、大いに買う。居酒屋のレベルを超えて、質の高い食材による、欧風ベースの多彩なメニューは、そこらの料理屋でも見かけない。ただ、その食材を活かしきれていない、ともすると?的な料理(例えば、パルジャミーノとバターのリゾットは、リゾットと語るに値しない等)も見かけ、シェフの腕がまだまだ追い付いていないと感じざるを得ない。探究心、サービス精神旺盛なシェフが、ここに留まらず、料理の種類ではなく、レベルを上げることに注力してほしいなと思うばかり(例えば、イタリアンのオーナーシェフが年1回本場イタリアに修行に行くように、1ヶ月程度他店に修行に行く等)。まずは、ベースとなる何か、パスタだったり、ピザだったり、この店でしか味わえないとびぬけた何かがあると、ぐっとこの店を選択する魅力が増す。メニューの多さにはわくわく感を覚えるが、山口市・小瓶のように、素直な料理の感動も、ダイニングバーとして差別化する方法の一つだろう。

きっと、オーナーシェフの人柄から、ファンも多いことだろう。いつまでも、こう言うおもしろい店が頑張ってもらうために、さらなる飛躍を期待する。

この店に女性を連れて行くなら、まあ、間違いない。カウンターでシェフとの会話を楽しむなら、一人で入っても悪くない。一見にそこまで手厚いサービスをしなくてもと心配になるが、思った以上にリーズナブルな会計は、やっぱり嬉しかったりする。季節ごとに変わるメニュー、次はどういう料理を味わえるのかとまた訪ねたくなる、料理と心地の良さを合わせ持つ、防府の飲食店街にたたずむ貴重な店である。

※2012年4月からは、予約制でランチに飛騨牛をメインとする特製ハンバーガーを出すとのこと。
(2012年3月訪問)

 
                                                    

 

古都
(お好み焼)
場所:防府市岸津1−6−51(旧2号線沿い、防府市の東方面。ボーダフォン防府牟礼店隣)
電話:0835−23−4859
スペシャル680円
お好み焼他、もんじゃ焼、普通の定食あり。

リーズナブル、量たっぷりのお好み焼屋。関西風、広島風とあるけど、ここは俄然関西風がおすすめ。
ふわふわ生地は他じゃ味わえず、たまーに突然食べたくなるそんな味。
一度食べるとやみつきになることうけあいよ。
 
                                                   

 

鳥喋
(焼鳥)
場所:防府市天神1−4−17 (三田尻へ抜ける道、高架手前)
電話:0835−22−0823
手羽先焼き(3本) 450円
鳥串焼き(3本)  450円
手羽先たまり焼  500円


防府でおいしい焼鳥屋を求めてたどり着いたのが、このお店。手羽先だけでも食べに行きたいとの評判どおり、しっかりタレの付いたジューシーな手羽先に舌鼓。串焼きの鳥肉も、ぷりっぷりの食感とジューシーな旨みを感じつつ。たまり焼きとは、たまり醤油につけた鳥を卵で包んだピカタのような一品。ポン酢で食べるさっぱりとした味が、口直しに最適。メニューの数は、十数種。手羽先の調理法で数種あることを考えると、種類としてはもっと少ない。それでも、十分に鳥を満喫できるのは、どれもがおいしく、しっかり鳥を味わえるがゆえだろう。店内は、カウンターが10席程度とテーブルらしきとこに2、3人座れるくらいかな。客の回転は早いけど、多ければ少し時間をずらす余裕を持っておきたい。店にいると気付くのは、電話注文による持ち帰りの多さ。家族でゆっくりこの味を楽しむには最適だなと思ったもの。取りに行く時間を指定し、それに合わせて焼いてくれるのも嬉しいとこ。たっぷり食べて、軽く飲んでも一人2500円程度。仲間同士でかるーく飲みたい時、ふらっと出かけたいお店だな。
 
                                                    

 

ソーマ
(バー・レストラン)
場所:防府市天神1−6−33 (防府駅前通り)
電話:0835−38−7877
カクテル 800円
チーズ盛合せ 900円

いい感じのバーで、カクテルを飲んで締める。常態化しつつある2次会参加の理由は、ここにある。やっぱり雰囲気のある店は、入口から違うなとふらっと立ち寄ったのが、このお店。店内は、落ち着いた雰囲気の中、カウンターとテーブルが数個。4〜10人程度のグループも受け入れそうな感じ。料理メニューが充実していて、酒のつまみに限らず、中華麺なんてのもある。1次会でしっかり食べてたから、チーズ盛合せを楽しむだけになったけど、またゆっくり楽しみに来たいと思ったとこ。ただ、それなりの人数が入り、料理が充実しているという弊害も。せっかくの落ち着く雰囲気が、団体の来客で一気に崩壊。居酒屋の1次会を見ているような騒がしい場となり、こっちが酔っ払ってなきゃ、ちょっと耐えられんだろうなと。選択が難しいな、そんな客が来ないと信じ、できるなら大切な人とゆっくり語り合う場として使いたいんだが。