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山口県東の端、岩国市。県境を広島と接するこの町は、錦帯橋を柱とする観光、米軍駐留地としての基地、そして瀬戸内側を中心とする工業という産業を背景に、少ない平野に15万の人口を擁している。
人がいれば、食べるところも自然と集まる。そんな店の数々を紹介する。
岩国市
 
 

いろり 山賊
(居酒屋)
場所:岩国市玖珂町一の迫1380−1(山陽自動車道玖珂IC近く)
電話:0827−82−3115
時間:10時−翌5時(月曜のみLO23時)、年中無休
山賊焼 588円
山賊むすび 473円
山賊手打うどん 557円
皇牛焼肉ひちりん 788円

山口県の食事所を紹介するなら、ぜひここをと思いつつ、遅まきながらようやく掲載。何度目かの利用だけど、なにせ場所が不便。県東部岩国にあるため、県央部からだとちょっとした小旅行になってしまい。山口市からだと一般道を使い約2時間、格好のドライブコースと言われるのは、これが故である。

これぞ山口ならではと言い切れるのは、そのスケールによる。山あいの一角に位置し、自然の地形を利用して、お店を展開。入口で料理の注文と支払いを済ませると、自由に席を選び、そこで店員に注文書を渡すよう指示を受ける。そこからの席選びは、ちょっとした散歩。山道を上がったり、川にかかる橋を渡ったり、照明をあてられた滝を見下ろしたりしつつ。基本屋外だから、雨が降ってた今回は、もちろん傘をさしてうろうろと。道のそばに集まる屋根がなくテーブルだけの席には雨よけビニールが張られて、今回の利用は不可。一通り敷地内を散歩し、軒下に並んだコタツを見つけて、今回の席に決定する。

11月末の冷たい空気も、コタツに入って熱いお茶を飲んでると、なんとも休まりなかなか良し。自然の中で過ごすというなによりの醍醐味と共に楽しめるのが、ここの食事。その雰囲気に負けない、十分な野趣あふれる料理を味わえる。何度行っても同じ料理を頼んでるような気がする、そのメニュー。

醤油ベースのオリジナルタレで焼かれた
山賊焼は、ここならではの定番料理。似た名前の料理は見かけても、ここの味と、肉の刺さった太串を片手でつかみむしゃぶりつくスタイルは、そう真似できるものでもない。山賊むすびは、具材がいろいろ入った大きなむすび、そして個人的におすすめなのは、皇牛入りの山賊手打うどん。もっちりした麺もいいし、スープもさっぱりで好き。麺にこしを求める派は向かないだろうが、少なくとも寒い冬には体の温まる必須の一品。お腹を満たすためもう一つとなると、串かつも人気らしいが、炭火焼である皇牛焼肉ひちりんを選んでほしい。目の前の七輪で脂の乗った皇牛を焼く楽しさと、適度な歯応えを感じられる旨みのある肉のおいしさは、ぜひ味わっておきたいとこ。

決してシェフの技量による繊細な料理が出てくるわけでもなく、素材をシンプルに調理したって位しか表現が見つからない。でも、ここの他じゃ決して味わえないスケールの大きな雰囲気の中で、それに合わせたおいしく楽しめる料理を食べることができるなら、その価値は十分にあると思う。山登りでの山頂で食べる弁当が、河原でのバーベキューが格段においしいように、料理に必要な雰囲気を持ち合わせている、貴重な店と言える。お酒を飲まなければ一人1500円程度という手頃な値段、この店は、これからも山口のシンボル的な存在として、この山あいにあり続けることだろう。

週末は、県内外から人を吸い寄せ、大変な混みようになる。料理の出てくる時間はかかるし、追加注文はなかなか相手してもらえないしで、サービスの悪さにはいささか定評も。自然の中に身を委ね、ゆったり過ごす気で来店するのがいいんだろう。そういう意味でも、仲間との飲みよりも、二人でゆっくり過ごす時に利用したい。とまれ、手頃で満足が得られる店として、家族連れから、仲間同士、カップルと様々なニーズに応えているからこそ、人がこう集っていることは、言うまでもないが。

 
                                                    

 

天ヶ岳643
(リゾット)
場所:岩国市由宇町峇清643(由宇温泉から国道188号へ抜ける由宇町横道沿い)
電話:0827−63−1916
時間:10時30分−21時、定休日:木曜
シーフードトマトリゾット 850円
きのこリゾット 850円
デミグラスリゾット 900円
自家製ハーブティー(ミント・レモングラス) 450円

道路沿いの大きな看板が目印。なんともかわいげなデザインに引かれ、立ち寄る。
丸太小屋の建物は、店内は懐かしストーブが置かれていたり、ハイキング途中で寄った山小屋の風。70過ぎの人のよさげなおじいさんが一人で切り盛り、ゆったりとした時間を過ごすことができる。天ヶ岳の麓に位置し、自然に囲まれた景色を堪能。店内には、陶器等も飾られ、食事が出てくるまでの時間も楽しめる。
メニューは、ドリンク類を除き、リゾットのみ。ほっとさせられる素朴な味わいで、おいしくいただく。デザート類はなく、持込可とか。ゆったり静かな時を送りたい時におすすめ、贅沢なひと時を送れます。

 
 
                                                    

 

こはま
(お好み焼)
場所:岩国市麻里布町4丁目3−4(岩国駅前)
電話:0827−22−8044
お好み焼(肉・玉・そば) 600円
チーズ、もち 各プラス80円

岩国駅前の路地裏にある、お好み焼屋。近くにあるスパイスマーケットなる店を目的に訪ね、休みだったため寄ったものの、とってもおいしかったから紹介。お好み焼ってのは、どこで食べても結局似かよってるという概念を変えさせてくれる、おすすめどこ。
駐車場はないから、近くの有料に。店内は、カウンターとテーブルが4つ程のこじんまりしたお店。昼時には、お客さんでいっぱいになるけど、回転も早いから、しばらく待つくらいで。
トッピングが手頃なのもいいけど、今回は、シンプルに肉玉そばをおたふくソースと共に。カウンターだと、お皿はなく、鉄板に置かれた状態をヘラで切り分け、直接食べるスタイル。もちろん言えば、皿と箸をくれるけど、せっかくだからとヘラで食べる。猫舌気味の者にはちょっとした試練も、熱々はまたおいしく。カウンターのテーブルに、もやしやソースがこぼれてたのは初心者であるが故。お好み気分時、気軽に選択したいお店です。
 
                                                    

 

寿栄広食堂(スエヒロ食堂)(ラーメン)
場所:岩国市麻里布町1−2−3(JR岩国駅前) ※駐車場はなく、近くのコインパーキングを利用
電話:0827−22−7878
時間:10時−22時、定休日:第2火曜
中華そば 550円
大盛中華 700円
チャーシューメン 680円
いなり(1ケ) 140円

岩国駅前にある老舗のラーメン屋。広島に近い土地柄から、広島ラーメンに近い豚骨醤油ラーメンを想像しながら訪ねるも、全く違う系統であることを知る。

スープは、豚骨ベース。たっぷりと背脂が浮きながら、ラーメン自体は、こってりとした重い感じは一切なく、昔ながらの中華そばをほうふつとさせるタレと塩加減のバランスが取れた優しい味わい。そんなあっさりとした中にあるちょっと尖ったコクがここのラーメンの特徴で、人をひきつける魅力となっているんだろうけど、ここから先は好みの問題。
ラーメンの系統としては、かなり好きな部類。変わらない、それが老舗に求められるもの。ここの味わいを求めて、多くの人が訪れる理由が、よく分かる。

印象としては、下松ラーメンに近い。昼時には、若い家族連れから、じいちゃんばあちゃんまで、地元の人たちで席が埋まる。少なくとも、この界隈でラーメン屋を探すなら、この店を選んでおけば間違いないだろう。