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山口県西端。30万人の人口を擁する県下最大の市。
その規模の割りにもう一つ魅力に欠ける街の理由は、関門海峡を挟む隣町、北九州市小倉への流出が激しいことによる。小倉へ10分、博多へも1時間で行ける環境が、罪作り。
それでも、もちろんお店はいろいろと。まだまだ疎い町だけど、まずは見かけたよさげな店から。
下関市
小月
 
 

ヴィルセゾン卯(フランス料理)
場所:下関市清末東町1−332
電話:0832−82−8080
時間:11時30分−14時、18時−21時(要予約)、定休日:水曜、第3日曜
お店HP
Aランチ 1800円
Bランチ 2500円
Cランチ 3500円
Aディナー 5000円

まあ、とにかく場所が分かりにくい。下関市、小月ICから5km程度、2号線パイパス清末東交差点近くの田園の中に、店は存在する。まずは、昼の明るいうちに、一度訪ねておきたい。

店内は、5つほどのテーブル席の他、奥に靴を脱いで上がる16名まで利用できる部屋がある。余裕のある空間で、ゆったりとした時間を過ごすことができる。ランチ利用で、コースは3つから。内容は、メインの品数が変わるようで、結局手頃なAランチを選択。ディナーも同じく3種あるようだけど、こちらは予約を要するようだから、要注意。

まずは前菜、「可愛い小鉢に盛った季節の前菜五品とハイビスカスとレモングラスとフルーツ酢を使ったハーブドリンク」。小鉢に盛られた料理一品一品におもしろさとおいしさを感じ、大きな期待を持ってのスタートとなる。「地元の玉葱とニンニクの元気スープ しんあい農園元気たまご入り」で体を温め、「野菜のグリエとトマトのパスタ ジェノベーゼソース添え」でトマトの深いおいしさとパスタの相性を楽しみつつ、野菜のグリエのジューシーなおいしさに唸る。「地元新鮮野菜のサラダ オリジナルドレッシングと共に」は、理想のドレッシングで、これならいくらでもと。メインは肉料理であるハンバーグとの選択から、「サーモンのムニエル 黒胡麻風味の軽いミルク煮」を選ぶ。サーモンは味の濃い魚で、ソースとの調和が好みに合うことが少ないけど、軽いミルク煮というサーモンを活かした調理が、なんともいいバランスを演出していて。最後は、デザートとコーヒーで締め。パスタまで付くバランスの取れたミニコースを、最後まで楽しめ大きな満足を得る。

なにやらシェフは、数々のフランス料理店のシェフを務めてきたという、なかなかの実力の持ち主らしい。気軽にレストランをやっているという店とは違う、そのレベルの高さは、前菜のおいしさですぐに分かるはず。そんな店が人知れず田園風景の中に溶け込んでいたりするから、おもしろい。軽くランチに留まらず、近場であるなら夜の利用と、多方面で活用したい。

 
 

 
長府
 
 

ビストロ マサ
(フレンチ)
場所:下関市長府中浜町7−3(長府、忌宮神社そばの商店街)
電話:0832−45−3650
時間:ランチ11:30−14:30、ディナー18:00−22:00、定休日:火曜
お店HP
パスタランチ 1000円(気まぐれサラダ、本日のパスタ、自家製パン、ドリンク)
ビストロランチ(前菜、スープ、メイン料理、自家製パン、ドリンク) 1800円
ディナー(本日の前菜、グルメサラダ、メイン料理) 2000円

長府の商店街でひと際目立つ、おしゃれな外観の店。フレンチベースのビストロのようで、イタリアンのお店のような気も。元々唐戸市場にあった知られた店だったらしいが、もちろんその頃を知ることはなく。

店内は、カウンター7席程度と4人がけテーブルが2つ。近所の人や、家族連れ、昔からの常連さんが多い様子。今回は、ビストロランチ選択。旬野菜をたっぷり使ったサラダの上に乗っかる豚肉のテリーヌが前菜。スープは、じゃがいもの温かいクリームスープ。泡立てた、優しい味のスープを味わう。メインは、豚肩ロースのロースト。色鮮やかなソースがフレンチ調だなと思いつつ。豚は、しっかり効いた岩塩で旨みを楽しめる。塩分に気を使う人には厳しいなと余計なことを考えつつ、フォカッチャと共においしくいただく。単品には、仔羊の香草焼き(1600円)なんてあったり、違う日のランチには、これがメインで出るのかなと思ったり。

長府のこの界隈では、こういうアットホームでおしゃれな店は珍しいんじゃ。気軽に友達や家族で行くのにおすすめしたい店。
 
                                                    

 

EXAS
(バー)
場所:下関市長府南之町6−5 リバーサイドテラス1F(壇具川そば)
電話:0832−41−0111
時間:10時30分−19時、定休日:月曜
ランチ(パスタ、ビーフシチュー、ドリア等にスープ・サラダ付) 800円

壇具川沿いにあるラウンジバー。バーは夜営業、昼時はスタイリッシュな雰囲気で食事ができる、ランチの店となる。この日のランチは、シーフードドリア。チーズの焼けた香ばしさが食欲をそそり、ホワイトソースとシーフードもよろし。雰囲気ともども、どこか上品な味わいの料理を楽しむ。

城下町長府の中にある斬新さを味わいに、散策の折にでも寄ってみては。夜はいい雰囲気を求めて、昼は気軽なランチどことしての利用が最適。
 
                                                    

 

桂のさと
(カフェ)
場所:下関市長府川端2丁目3−26
電話:0832−41−0200
時間:10時00分−19時、定休日:水曜
カレー・サンドイッチ等軽食 800円程度
ケーキセット 800円

川沿いに土塀をはりめぐらした、オープンテラスの一軒家。周りの景色に溶け込んだ静かな雰囲気が、心を落ち着かせ、ちょっとおすすめ。
ドリンクの中心価格は、500円。好きなドリンクを選べるケーキセットが800円。カレーやサンドイッチ等軽食も800円程度で食べることができる。
観光会館から600m程度歩いたとこだから、この辺で休憩するのがおすすめかな。
 
                                                    

 
   

王司パーキングエリア
(うどん)
場所:高速道路(中国自動車道)王司パーキングエリア
電話:0832−48−1771
時間:7時−20時
肉うどん 410円
王司特性うどん 500円
肉うどんセット(かしわむすび1つ) 650円

パーキングエリアでありながら、そのうどんを求めて立ち寄る客も多いという人気の店。メニューは、ラーメンなんてのもあるけど、断然うどん。麺は、特に特徴のないスーパー系の慣れ親しんだもの(実は結構好き)、だしが俄然うまくて、このうどんの評価を押し上げる。だしを最後まで飲むってことが、なによりの。
写真は、おすすめ肉うどんセット。移動中、時間がない時気軽に利用したい。今日のお昼は納得いかんなんて後悔はしないはず。
 
                                                    

 
下関市中心地
 
 

日和庵(和欧風創作料理)
場所:下関市丸山町5−3−19
電話:0832−29−3388
時間:11時30分−14時30分、17時30分−22時
お店HP
ランチ 3150円〜
ディナーA  8400円
ディナーB 10500円

下関市・日和山の中腹にあるここ日和庵は、大正10年に建築された豪商の住宅を改装した店で、歴史を感じさせる趣のある建物、大きなガラス窓を通し一望できる関門海峡の景色、和を感じさせるおいしいフランス料理と、最上質の時間を過ごすことができる場所である。山の中腹から見下ろす景色は、夜ともなると、関門海峡を挟む下関市街と北九州・門司のまばゆい明かりに包まれ、食事を一層おいしいものにさせる。積み重ねた年月を感じさせる建物の風合いは、重厚感のある凛とした雰囲気をかもし出し、心地いい時間を演出する。

店には駐車場がなく、9号線沿いにある駐車場を利用することになる。市営駐車場なら、2時間の無料券を出してくれるそうだから、予約時に確認を。駐車場からは、坂道を歩いて店まで行くことになるよう。ちなみに利用時は、下関市内のホテルに宿泊し、タクシーで店のすぐ側まで運んでもらう。

案内されたのは、メインダイニングと呼ばれる、6つのテーブルが並ぶ広間。南側をガラス張りとした造りで、高台にある地形を活かし、関門海峡の夜景を一望できる、すばらしい部屋。この店の雰囲気をぜひ写真にと思うも、デジカメのバッテリー切れという失態を犯したため、料理共に写真はなし。窓側席の予約は受けないようだから、少し早めの来店が、肝要だろう。

下関まで出かけたからにはと頼んだコースは、秋のスペシャルセレクトコース(10月)のDinnerB(10,500円)。6,300円からコースがあるから、ケースに応じて利用できそう。まずは、シャンパンで口を潤し、食事に入る。

1品目は、「国産山鹿のマリネ 赤ワイン風味」。くせがあるのかなとのイメージは、どうやら思い込みのよう。柔らかな食感で、口の中で広がる奥深い味わいもおいしく、思った以上にさっぱりといただける優しい料理。季節を感じさせるジビエ料理を前菜とするセンスと共に、これからを期待するに十分な一品で。2品目は、「伊勢海老のカルパッチョ 赤ピーマンとハチミツビネガーソース」。殻の半身につまったレアな伊勢海老を軽く酸味の効いたソースでさっぱりといただけ、ぜひにとすすめられた濃厚な味噌がまたおいしかった。

3品目は、「イベリコ豚の生ハム」。これは、コースとは別でと来店時にすすめられ注文したもの。生ハム3,4切れ+サラダがついて600円というもので、イベリコ豚好きとしては、迷わず注文。目の前でブロックから切り落とされたイベリコ豚は、最高部類のべジョータ。独特のナッツ系の柔らかな香りと、口の中で溶け出す上質な脂と共に広がる旨みに、求めるイベリコ豚の味わいだと喜び、至福の瞬間を過ごす。

4品目は、「ハンガリー産フォアグラのソテーとハモと松茸のホイル焼き」。フォアグラのとろける食感を楽しみつつ、香り高い松茸との相性の良さを思う。5品目は、「イベリコ豚の蒸し煮 キャベツ包みスープスタイルで」。生ハムのような直感的な旨みとは違う、凝縮された旨みに、イベリコ豚の違う一面を見つつ。6品目は、いよいよメインの一つ、「甘鯛と松茸のローストと車海老のボイル フランス産セップ茸のクーリー レモンビネガー風味」。セップ茸を裏ごししたこくと適度な酸味のあるソースで、あっさりとした白身とよくあい、おいしい。松茸の香りが全体の料理を引き締め、その大きな役割にちょっと感心。

7品目は、肉料理のメインとして、「岩手産牛フィレ肉と仔羊のロースト シェリー酒ビネガー風味と香草ソースで」。これは、一つの皿を半分に分け、フィレ肉と仔羊のローストをそれぞれに乗せたもの。赤身のおいしさを味わえるフィレ肉の良さを思いつつ、仔羊の味わい深さとの比較を楽しむ。二つの料理の仕切りとして使われていた、生のマッシュルームのスライスも、さっぱりとしてアクセントにちょうどよく。

予約時に誕生日祝いを兼ねてと伝えていたところ、デザートは、特別製を用意してくれたよう。明かりを消し、デザートにかけたブランデーに火をつけるパフォーマンスを楽しむ。食後にコーヒーを飲んで、約2時間半の食事を終える。

ジャンパンを最初に飲み、続いて白ワインをそれぞれグラスで。メインの肉料理でと思った赤ワインまではたどり着けず、アルコールは2種のみ。ワイン蔵を備えているように、ワインにもこだわりがあるようで、出してもらった1997年ものの白ワインも、酒店じゃなかなか買えないものですよとの簡単な説明に感心しつつ。

20時来店と時間が遅かったことから、終盤は貸し切り状態で夜景と店の雰囲気を楽しむ。気の利いたサービスは心地よく、料理のタイミングといい、常に客の状態を把握した動きに感心。料理の説明もしっかりと聞け、そこでの温かな対応が、また好印象。料理のおいしさ、サービスレベルの高さ、店の雰囲気を思うと、県内でもトップクラスに位置する店じゃなかろうか。ついつい比較したくなる、東京での3つ星フレンチを思うと、料理の独創性・深さでは見劣りするも、元々のコンセプトが和欧風であることを思うと、素材を活かすことに重きを置いた調理法にその理由を見るような気がし、また違う良さがあることが分かる。

渡り廊下を通じ併設するスカイバーでは、ガラス張りの壁面にカウンターが据え付けられ、また違う角度からの夜景を楽しめる。ここを利用するなら、ちょっとしたイベントを絡め、着飾って出かけたい。遠方からなら、下関・小倉観光を兼ね、泊付きで出かけてもいい。料理、店の雰囲気共に、それだけの価値のある店だから。
 
                                                    

 

アルベリ
(イタリア料理)
場所:下関市中之町8−20(唐戸市場近く)
電話:0832−31−1016
時間:10:00〜深夜2:00
ランチ(月−金or土)
オムライスランチ 1030円
スパゲティランチ(本日のスパゲティ、サラダ、スープ、ドリンク) 820円
ドリアランチ(おまかせドリア、サラダ、プリンorヨーグルト、ドリンク) 820円
シェフがおすすめの日替ランチ(前菜、スープ、サラダバー、日替ランチ、ライス、ドリンク) 1560円

唐戸市場近くにあるカフェ風イタリア料理屋。1階が駐車場になっているから、気軽に立ち寄れる。
パスタのおいしいお店と聞いて出かけるも、結局食べたのはオムライスランチ。ワインの効いたデミグラスソースは、こくのある大人味で、それはそれでうまかったが。
店内は、テーブル席が10席近く。大人数でも利用可能で、使い勝手が良さそう。サラダバーが付くセットは、お得感あり。オムライスセットも、+200円くらいでサラダをバーに代えれるっていってたな。
下関界隈は疎いが、なかなかいい店じゃないかな。次こそパスタ、評価はそれからで。
 
                                                    

 

元祖瓦そば たかせ(瓦そば)
場所:下関市豊浦町大字川棚5437
電話:0837−72−2680
時間:11時−21時、定休日:木曜
お店HP
元祖瓦そば(一人前) 1050円
うなめし 1680円

瓦そばの発祥は、明治10年西南の役で、熊本城を囲む薩摩兵士が、瓦を用いて野草や肉を焼いて食べたという逸話にヒントを得、当店主が瓦を用いて独特の製法を開発したことによるというもの。日本瓦を使うことが特徴で、茶そばに牛肉、錦糸玉子、海苔を乗せることが特徴になっている。

今や山口ご当地グルメとして浸透しつつある瓦そばの元祖が、ここたかせ。場所は、川棚温泉にあたり、下関市中心地から191号線を30分程北上、もしくは下関市小月ICから20分程行った地になる。休日の昼時には行列ができるも、13時を過ぎるとひと段落。一軒家の建物からなる店内に案内され、畳の座敷にところせましと並べられたテーブルの一つに案内される。

写真の瓦そばは、2人前。熱した日本瓦に乗せられた茶そばは、瓦との接触部が適度に焼きあがり、パリパリとした食感を楽しめる。水分をとばした瓦そばならではの食感こそ、なかなか他では味わえないオリジナル。そばつゆには、レモンともみじおろしでさっぱりとした刺激をプラス、これがちょっと重めの瓦そばとよく合い、最後までおいしく食べさせてくれる。

瓦そばだけでは足りないからと、いつものようにうなめしも。ひつまぶしに近く、一杯目は鰻ご飯で、続いて薬味を乗せて、最後はだしをかけて食べるというもの。特別な料理でもないけど、変わらぬ味わいについつい頼んでしまう一品で。

せっかく訪ねるなら、ご当地ならではの料理を食べたい。その元祖といわれる店だから、一度は訪ねてみてほしいと思う。ドライブや観光で下関界隈を訪ねる機会があるなら、観光コースにここを加えて、山口散策を楽しんでみては。