トコトン播磨満喫記
宿泊地・塩田温泉
書写山円教寺から、バスで20分。宿近くの、塩田バス停に到着する。
今回の宿は、
じゃらんネット
で予約したとこ。お一人様歓迎という文字が、なによりも有難い。どうしても、この繁忙期、6畳一間に一人で泊ることは、ちょっと気兼ねするところがあって。
今回、宿泊地を選ぶ際に考えたこと。誕生日旅行という裏目的から、宿には多めの予算を確保、なにより去年の新潟旅行で旅館に泊り、安さ重視で選ぶビジネスホテルにはない魅力に気付いたことも大きい。せめて1泊は旅館で心満たされる時をと思ってたから、旅館を条件に宿を探す。
宿の名前は、「上山旅館」。湯暦300年播磨唯一のいで湯“塩田温泉”の湯元で、お湯の質に定評があるらしい。塩田温泉が、姫路駅から50分程度で行けるということも、決め手の一つ。観光を犠牲にしてまで、宿泊地を選ぶ気はなく。じゃらんネットに書かれた利用者の評判の高さが、なによりの決め手。サービスはいいし、料理もおいしいという旅館としての要素を備え、その上姫路市から最も近い温泉地となれば、他の競合は見当たらず。宿の空き状況から、旅行日程を組む。夕食会席付きの宿泊プランは、12,600円からあったけど、今回選んだのは、15,900円の炭火焼会席プラン。姫路名産の但馬牛とアナゴの炭火焼が付くというもので、なにより自分の誕生日に祝杯を挙げるこの夜に、最高の時を過ごそうと。
ネットで予約した時に登録したチェックイン時刻は、18時。で、円教寺に着いたのは、16時過ぎ。バスでの移動を考えると、とても宿に18時に着くことは不可能と諦め、とりあえず電話を入れていたとこ。18時30分に横関バス停から神姫バスで宿に向かうから、着くのが遅くなると。
塩田バス停で下りると、車の迎えが来てたことにはちょっと驚き。バスの時間を教えてもらっておくと迎えに来れるんだけどと言われつつ、そういや調度伝えてたなと。塩田バス停から、山方面へ300m程度、そう遠くないけど、疲れた体でこの坂道を歩かなくていいと思うと、迎えの有難さを感じ。
左:上山旅館外観
中:1階ロビーは、囲炉裏付きの純和風作り。ほっとさせてくれる環境で。
右:宿泊部屋。泊った部屋は旧館で、明治時代に建てられたとかなんだとかで、かなり趣のある部屋。床柱の深みといい、旧館を指定して宿泊する客もいるという理由に納得。積み重ねた年数だからこそ成せる、味わいを楽しみ。
19時前に宿の部屋に入り、夕食を19時30分に依頼。まずはお風呂で一日の汗を流す。
ちなみに、塩田温泉とは、名峰雪彦山を望む夢前川のほとりに湧く温泉郷。江戸時代に著された播磨鑑にも登場する古湯で、ナトリウム炭酸水素塩泉で、さらりとした湯ざわりを特徴とし、湯冷めしにくいから冷え症にいいと言われているとか。確かにさらっとしたお湯だなと思いつつ、ゆっくりとお湯に浸かり、疲れを癒して。
左:部屋へ向かう廊下。あんまりいい感じだから、一枚。
右:檜作りの内風呂。20時を境に男湯と女湯が入れ替わり、石風呂も味わえるんだとか。
夕食「炭火焼会席」
ついでに露天風呂もと思って時計を見ると、19時25分。のんびり浸かりすぎたようで、露天を諦め、夕食のために急いで部屋に戻ることに。19時30分過ぎ、予定通り迎えが来て、夕食所へ案内してもらう。部屋食じゃないのは、ちょっと残念だったけど、連れて行かれた場所が、個室だったのは、有難かったこと。なにせ、周りが盛り上がる中広間で一人ぽつんと食事ってのは、なんとも居心地が悪いから。
飲物にビールを注文。29回目の誕生日を祝し、これまでを振り返りつつ、一人乾杯。溜まった疲労と湯上りの火照った体に、冷えたビールが沁み込んで。うーん、至福のひと時を過ごす。
前菜スタート。鮪とはまちの刺身も新鮮でおいしく満足。海と山の幸をふんだんに盛り込んだ料理という噂どおり、種類も盛りだくさん。一品一品料理を運んでくれ、出来立てを食べれるのも嬉しいサービス。お酒飲まないから、早めに料理を持ってきてもらっていいですよと伝え、次々と平らげていく。塩田温泉の湯を使った豆乳鍋は、絶品。栄養が多いから、スープはぜひ飲んでくださいと言われ、もちろんと。メインの但馬牛とアナゴの炭火焼を塩で味わうと、旨みも増幅、姫路いいとこと思いつつ。その後、できたての天麩羅を食べた後、ご飯で締めに。このご飯が、なんともいえぬ旨さで。米の甘みを感じれる、ふっくらご飯。腹いっぱいなのにと思いつつ、茶碗に2杯程いただく。あまりの感動に、ここの米はおいしいですねと聞くと、他のお客様からもそんな声をよく聞くということ。山間の地だから、寒暖の差もありそうだし、おいしい米ができるのかなと思いつつ。
ビール1本も飲み終わらないうちに、相変わらずもうすっかりほろ酔い。ふらふらしつつ部屋に戻り、再び風呂に入る力もなく、敷かれた布団でひと寝入り。やっぱり旅館の楽しみは、ここにある。おいしい料理、行き届いたサービス、落ち着いた空間。年間一度は味わうべきひと時だなと思うとこ。心が豊かになる、そんな時を自分に刻んでおくために。
左:食事の部屋。一人でのんびり食事ができる環境に、感謝。
右:豆乳鍋の火入れ前
左:刺身一群
中・右:アナゴと但馬牛のメイン料理。炭火で焼いて、素材旨みを味わう。
朝のひと時
ひと寝入り後、22時前、ちょっと落ち着いたとこで、ロビーに行き飲物等を購入。そこでついでに、明日の姫路行きバスの時刻を確認する。1日充分に観光するためには、9時過ぎのバスで姫路に向かう必要があると判断。朝食時刻が8時20分からだというから、時間的には忙しいなと思いつつ、朝の予定を立てていく。効率的に動くためには、やはり計画。行きたい場所をピックアップし、だいたいの順番をイメージしたりしつつ、0時前に就寝。
まずは朝食までに全て済まさなきゃと、朝は早起き。まあ、旅先じゃ早く目が覚める方だけど、6時に起きて。やっぱり朝は散歩でしょ、と6時30分にフロントに行くと、誰一人おらず、入口も閉まったまま。こりゃ参ったと、ロビーの椅子で20分ほど休憩することに。ようやく入口があいて外に出、すがすがしい朝を満喫しつつ、散歩を開始。麓の町に下りるべきか、さらに山にのぼって行くべきかと一瞬悩み、まだ見ぬ山を目指して歩く。
アスファルトで舗装された道は歩きやすく、鳥のさえずりを聞きつつ、すずしい爽やかな朝を満喫する。ほととぎすの音色をこんなに堪能したのは、いつ振りやらと思いつつ。歩くこと25分、ちょっと頑張りすぎて町境まで到着。一山越そうかと考えたり、いまいち目標がはっきりしないからずるずる歩いてきたけど、ここらで引き返すかと。こっちが山頂という案内板に、こりゃ登るべしと張り切るも、手付かずの荒れた山道を前に早々に諦める。くもの巣と格闘し、蚊の襲撃までは耐えれても、蜂に襲われたんじゃ今日一日を棒に振ると。
左:歩きやすい、こんな道。隣町への近道らしく、戻る頃には通勤の車をたくさん見かける。
中:町境。ここまで2,3キロあるよとは、宿に人に聞いたこと。
右:散歩の途中で、塩田の町を見下ろす景色に遭遇して。
朝風呂
7時30分に宿に戻り、急いでお風呂へと向かう。朝風呂大好き、ここは譲れない一線。なにより、露天風呂に入らなきゃ、宿を満喫したとはいえないと。宿の庭は、ちょっとした庭園になってて、内風呂とは離れた位置にある露天まで、浴衣を着て歩いて移動することになる。ちなみに、行ってみて分かったこと。どうやら、ここにあるのは、野天風呂だということ。自然の中のお風呂といった感じで、数日前に明けた梅雨の影響もあってか、風呂の底に砂がたまっているのは、普通の風呂に慣れた人には、ちと辛いかな。これなら普通に内風呂に入ってもいいなと思うも、せっかくだからと野天を味わう。
左:宿から用意されてる下駄を履いて、庭を歩く。
中:小高い丘の上に、野天風呂が。
右:ちなみにこれは、家族風呂。誰も予約が入ってないから、ご自由にといわれたけど、どうせならと広い野天を選択。
左:そしてこれが、野天風呂。そこは土色だし、水には木の葉や昆虫が浮いてて。周りを飛ぶトンボは許せるが、蜂まで飛び回る姿には、さすがに参って。時期的な事情かもしれないけど、もうちょっと掃除したらいいのにと思ったもの。
右:こうやって、包帯を巻いた指を守るため、ビニール袋をして入浴。足をつけずに入浴することは、かなり至難。最後まで一人利用、このおかしな格好を見られずにすんでよかったよ。
朝食
風呂から上がって、出発の準備。なにせ、食事後すぐに宿を出る必要があるから。8時20分前に電話を受け、夕食と同じ場所で朝食をとることに。
朝食は、ここの宿の売りの一つ。名物「温泉粥」がつくというもので、温泉の湯を使った塩気のある粥を食べさせてくれるというもの。おいしいご飯もしっかり味わい、朝から栄養をつけれて満足する。
右:旅館の朝食も一つの魅力。
左:食事所からは、目の前の山を見ることができ。暗闇の夜に気付かなかった景色だなと。
出発
部屋で休む間もなく、出発の時。かなり急いだ朝食のままの勢いで、8時50分にチェックアウトをする。バスの時刻を伝えたところ、車で送ってくれるということで、お言葉に甘え。旅館の風情、サービス、温泉、料理、4拍子も5拍子も揃ったいい宿だったなと思い返す。ただ寝るだけだから、という考えはどこかにある。でも、たまには自分のために、このサービスを味わう価値は大きいなと感じたもので。
左:いつものように、宿の前で一枚。
右:バス停前で。塩田の町を走る、幹線道路を。
・・・・・
塩田温泉 湯元
上山旅館
兵庫県姫路市夢前町塩田287
079−336−0020
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