旅先検討


せっかくの大型連休を家で過ごすのは、もったいない。中途半端な3連休では、翌日からの仕事を考え、遠出するのにちょっと躊躇してしまうこの頃、旅行後にまだ休みが用意されているなら、この機会を利用しない手はないと、前向きに検討を始める。

大型連休での渋滞予測を聞きながらも、やはりこのご時勢、旅行をするなら車移動。高速料金千円制度により、かつての関所のような、遠出の心理的負担からようやく解放され、車移動の自由を与えられたのだから。

車で行ける範囲と思いながら、九州・中国・四国地方は、ほぼ制した感があり、対象外。どうせなら、この機会にしか行けないような、ちょっと遠方をと考える。その結果、距離的な限界と、何度か訪ねながら、まだまだおもしろさを秘めていそうな魅力から、近畿地方にターゲットに。何度か訪ねた京都や奈良は、まだまだ引き付ける魅力を持つが、初物を優先し、却下。大阪は、特定(美津の)のお好み焼きを食べたい思いだけで、他に魅力が見当たらず、神戸は、歴史背景を持つ町だけど、ちょっときれいにまとまりすぎているイメージから、お金を出してまではと、厳しく選別していく。

そして選んだのは、和歌山県。世界遺産にも登録された熊野古道を始めたとした遺跡は、日本の成り立ちに関わる由縁を持ち、それを信仰し古来より訪れた多くの人々の思いが残る地。そこで自分は何を感じるのだろうか、日本において、自分が訪ねておくべき地だとの思いが、和歌山訪問を後押しする。






宿検討


移動時間から、2泊3日を期間とし、行程を検討する。ベースとなる情報として、ガイドブックを購入し、ここで知ったのは、高野山が和歌山県にある事実。弘法大師・空海を開祖とする真言密教の聖地である高野山は、そのイメージから、京都界隈の山かと思っていたけど、和歌山県の北方、それも熊野古道に通じる位置にあることが分かり、今回の行程のメインに組み込む。

そして、もう一つ分かったのは、高野山の寺に宿泊ができるということ。朝の厳粛な空気に触れたいとの思いから、迷わず高野山宿泊を組み込むべく、宿を検索。思い立って、すぐに行動に移した旅行4日前の15日(火)に判明したこと。秋の大型連休・銀週間は、想像以上の旅行需要をもたらし、全く宿が空いていないという状況に陥っていることを。

頼りの楽天トラベルで、19日(土)に、高野山の寺院宿泊施設を一つだけ発見。選りすぐる余裕などなく、当初、20−22日で想定していた旅行日を、19−21日に切り替え、即座に予約。高野山が初日となると、立地関係、十分な時間を確保したいことから、必然熊野古道は2日目となる。となると、2日目の宿泊施設は、熊野古道に近い、新宮を中心に探そうと考え、再度検索。そしてここで、この旅行計画最大の難関が訪れる。

楽天トラベルを始め、あらゆる旅行サイトで、新宮どころか、和歌山県全域で宿の空きが一つもないことが発覚。高野山を押さえ、既に和歌山モードに入っているこの状況で、諦めるわけにはいかない。とまれ、これまで経験したことのない状況に、さてどうしたものかと次の手を考える。

翌日16日(水)に試したのは、楽天サイトの宿泊施設に片っ端から電話をかけるという、アナログ方式。そろそろキャンセル料が発生するタイミングで、風邪や仕事によるキャンセルが見込まれる。キャンセルが出た場合、サイトには更新によるタイムラグが生じる可能性があり、直接確認した方が確率が高いと判断。そして、帰宅後22時前からかけた電話は、20本に及ぶ。結果、新宮どころか、和歌山市内のビジネスホテルまで全く空きがなく、どこも19−21日は全て埋まっているとの回答。

2日目の観光コースを考えると、和歌山市内に宿をとることは、チェックイン23時を覚悟することになるけど、そこまで許容範囲を広げての行動も虚しく。そんな中、とある和歌山市内のビジネスホテルに電話したところで、目から鱗の情報を入手する。電話口で、申し訳なさそうに断るおばちゃんの口から続いて出たのは、「シングルなら空いてるんだけどね」というつぶやき。そうか、部屋数が多く、観光利用が少ないシングルなら、まだ余裕があるんだと発想の転換に一人感動。これなら焦って不便な宿をとることはないと余裕を持ち、翌日に宿決定を持ち越す。

結局、2日目宿を決めたのは、旅行2日前の17日(木)。楽天トラベルが、ネット予約のキャンセルをすぐに反映することが分かり、粘り強く待機。明日になれば、さらに希望に近い宿のキャンセルが出る可能性があるとの誘惑にかられながら、熊野古道から1時間半程度の距離にある串本町のホテルを予約。旅先では、評判の店で夕食をとり、宿は寝るだけビジネスホテルと決めているところだけど、今回は選択肢がなく、夕食付きの高級ホテルに。まあ、たまにはこんな旅行もいいかなと。






行程検討


宿も決まったところで、いよいよ行程の検討といきたいけど、既に旅行前日を迎えてしまい、大まかな行き先だけを抑えることに。和歌山市まで、どうやら車で4時間30分かかるという。噂される連休の渋滞を考慮し、出発時間は朝6時。順調に行けば、12時までには和歌山市内に到着するはずで、それなら、市内で昼食を取ろうと考える。基本渋滞見込みとは逆方向への移動で、そこまで混まないのではと楽観予測を持ちながら、状況によっては、高野山に直行することも視野に。

観光地での渋滞を考慮し、あまり予定を詰め込みすぎないことが、今回の特徴。2日目にできるだけ時間を取りたいから、高野山観光は1日目に終えることが前提となり、17時前の拝観時間等から、あまり遅く高野山に到着するわけにはいかないと予定を立てる。

2日目は、ガイドブックで熊野古道歩きに乗用車搬送サービスがあることを知り、これを旅行前日に予約。出発地までバスで戻る方法があるのかもしれないけど、古道はあくまで熊野本宮への道のりでありたいという思いと、苦しんだ道を十数分で戻るなんて虚しいことを避けたかったから。歩く距離で悩んだが、人間追い込まれてこそ見えるものがあるとの経験から、13km、6時間のコースを選択。高野山から熊野古道出発地まで2時間かかるというから、古道10時到着をとりあえずの目標とする。

2日目は、歩き時間を考えると、熊野本宮大社参拝も危ぶまれ、ホテル直行まで想定。順調に行き、3日目が熊野那智大社のみの観光となれば、和歌山市に移動し、和歌山城見学、織田信長を苦しめた雑賀孫一率いる雑賀党の拠点として知られる雑賀崎を訪ねることを視野に入れる。

大きくは、そんな予定。それまでほとんど認識がなかった和歌山県を、3,4日の内にネットやガイドブックにより研究し、それなり充実した行程が組めたことに、まずは満足。そして、あっという間に当日の朝を迎える。




                                                                                    




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紀伊の古道参詣記
2009年初秋、重なる休日が偶然作った、シルバーウイーク。居住地広島と、高速道路千円という環境から、車で行ける関西圏を候補に考え、選んだ先は、和歌山県の紀伊山地。
旅の期間を2泊3日とし、高野山と熊野古道を旅のメインに据える。
これまで、和歌山県に特に魅力を感じなかったけど、実はここには、日本の文化・価値観の一端を表す多くの史跡が存在する。世界遺産にも登録された、紀伊山地の魅力を知ってもらえたら。
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