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Wedding Reception at 日和庵
2008年2月、山口県下関市にあるレストラン、日和庵で結婚披露宴を行う。
その思いはただ一つ、雰囲気、景色、料理、サービスそのすべてに感動したこの店に、親しい人達を迎えたい。
形式にこだわらず、料理のメニューから、進行、引出物まで思いを込めて作ったオリジナルのプラン。
思い出を形に、そしてこれから披露宴を行う人達の参考に、その全てを紹介する。
プラン フォト 冊子

T プロローグ

1 コンセプト

雰囲気と料理と会話を存分に楽しんでもらう、招待客の満足を第一とする大人のパーティー


2 会場選び
料理がおいしい、形式ばらないレストランウェディングが可能という会場をいくつか検討したが、どれも作られた披露宴会場の域を出ず、本物のレストランの料理を超えることももちろんない。立地の良さやサービスの使い勝手は優るだろうけど、求めていることはそこじゃない。

日和庵を初めて利用したのは、2007年10月。高い評判ばかりを耳にする中、ようやく訪問したものであり、そして3時間におよぶゆったりとした食事を終えた後、隣接するバーに移り、一望できる下関の夜景を前にプロポーズをしていたりする。

当時、披露宴会場としての利用が不明ながら、自分の求めるものを全て満たすのはこの店しかないと直接お店に電話。披露宴会場として利用したい旨を伝えると、お客より依頼があれば会場として提供しており、年に数回程度の利用があるとのこと。予定の日には予約も入っておらず問題ないとのことで、一安心する。

料理は1万円から、サービス料は通常営業どおりで、それ以外に会場使用料等は不要。持ち込みは、もちろんなんでもOKで、そもそも披露宴施設ではないから、持ち込み料がかかることはない。ただ、音響や花の業者は紹介できるけど、他は全て自分で用意すること、という条件が付いてくる。

プランを全て自分で作ることができる、それは願ったり叶ったりなこと。唯一懸念材料となったのは、フロアの大きさから、30人程度しか入らないということ。となれば、それぞれ15人程度。あまり人を呼ぶつもりはないけど、それはあまりに少ないのではと、大きな課題として残る。

お互い県央部に親類がいる中、県西部の下関を会場にすることは、マイクロバスを出すことでクリア。問題は、人数。親戚は呼ばなくていいのではという提案は一蹴されるも、テーブル配置を工夫し、43人分の席を作ることで解決に導く。本当に親しい人達と、アットホームな雰囲気でいうイメージどおりの形ができあがる。


3 日和庵

ここで日和庵を、個人的な感想も交えて簡単に紹介。
日和庵とは、大正10年に建築された下関の大豪商の邸宅で、現在の当主により和欧風料理の店として改築されたもの。太い梁や漆喰の壁を始め重厚な造りのこの建物が放つ空気感は、80年を越える時間が醸成した独特の渋みがあり、どこか懐かしく、心地のいい落ち着きを感じることができる。場所は、日和山の頂上に位置し、関門海峡を一望できる景色が目の前に広がる。

オーナーシェフは、西尾さん。下関市の食材を中心に、世界各地の旬魚旬菜を取り揃え、フランス料理に和の要素を取り入れた和欧風創作料理が、ここのベース。新鮮な素材を活かしたフランス料理は、日本人の持つ味覚を刺激し、名前やブランドにとらわれず、料理そのものを素直に楽しむという本来あるべき料理のあり方に気付かせてくれる。

その料理、雰囲気を引き立ててくれるのが、心温まる上質なサービス。サービスのプロをアドバイザーとしてスタッフに加え、洗練された動き、気の利いた心遣いにより、一流の店を作り上げる。初めて利用したときに強い印象を受けたのが、そのサービスレベルの高さ。料理のおいしさ以上に、心地良さこそ何度と店に足を運ばせる理由だと、あらためて気付かせてくれる。


4 アシスタント
さすがに、仕事の合間に全ての段取りのするのは難しいからと頼んだのは、ウェディングプランナー「THE BRIDAL」。当日宴でのアシスタントや事前の調整等も考え、必要経費と割り切り依頼。

何度も念押ししたのは、プランはこちらで作るから、それに対するプロとしてのアドバイスをしてほしいということ。アイディアはあるけど、婚礼のマナーやルールまで知るわけじゃないから。

当初ははりきり、会社の持つ有料オプション(炎の高く上がるろうそくやぬいぐるみ、暗闇で光を放つ筒、引出物等)を紹介したり、有体な既存の枠組み(キャンドルサービスや最後の万歳三唱等)に当てはめようとしていたが、何度か話し合うことでコンセプトを共有してもらうことができ、多くを任せることに。
注釈:この会社のプランニング力を評価するものではない。あらゆる要望に応え、頑張ってくれたプランナーを高く評価



                                                                      

U 準備
思い描く宴にするために手作りで準備した多くのものを紹介

1 招待状
・ ネットで見つけた、ペーパージャックを利用。上質な紙を使用した落ち着いた雰囲気の招待状とする。
招待状文面(PDF)


2 進行
・ 大人なパーティーを目指しつつ、披露宴らしさを盛り込む
・ 進行は、all aboutの大人のウェディング等を参考に作り上げる
17:00 タキシード&白ドレスで新郎新婦入場
17:10 最初の挨拶は新郎のみ。早々に乾杯に入り、さっさと宴をスタートさせる。
17:15 シェフ料理説明。続いて、イベリコ豚生ハムを切り分け実演
17:25 司会者より新郎新婦の紹介、生い立ちビデオ(誕生〜社会人(10分))上映
     (ビデオは、パソコンソフトによる自作で、長くなりすぎたため2編に分けることに)
     ビデオ上映後、新郎友人、新婦友人によるスピーチ
17:45 歓談(15分間)
18:00 ケーキ入刀&ファーストバイト。ケーキは日和庵に別注(2万円)
18:05 新郎新婦退場。新婦は新婦父親と共に先に退場
     お色直しの歓談時に、ビデオメッセージを撮影
18:25 新郎新婦入場(この頃辺りは暗闇となり、夜景が映える景色となる)
18:30 プロフィールビデオ(出会い〜結婚へ(5分))上映
18:40 フランベデザート。灯りを落として、炎に包まれるデザートに歓声
18:45 フォトサービス。離れのバースペースを利用し、テーブル単位で記念撮影
    ゆっくりと会話をする時間を設け、合わせて切り分けたウェディングケーキを手渡し
    フォトサービスの間、会場ではヴァイオリンによる生演奏、メイン料理を楽しんでもらう
19:20 歓談(10分間)(自分達が料理を楽しむための時間を確保)
19:30 新婦からの感謝の手紙、両親へのプレゼント(梅の苗木)
19:35 両家代表挨拶、新郎メッセージ
19:45 新郎新婦退場
19:50 送賓

・ 仕事関係の出席者はいないため、挨拶等至ってシンプル。出し物等もなく、食事と会話と雰囲気を楽しんでもらうことを優先。
・ 披露宴らしさとしてケーキ入刀・ファーストバイトを実施。
・ 司会はプロに依頼。打ち合わせでシナリオを渡し、言葉を少なく、落ち着いた雰囲気を作り出すことを求める。
・ ヴァイオリンを習っていたこともあり、生演奏を依頼。イベントが少ないことから、埋め合わせ的な意味も。
・ プロフィールビデオは、写真と文字で二人を紹介。編集ソフト・ムービーシアター(8千円)で作成。最初の新郎挨拶では、午前中の結婚式の写真を移動中に編集し、紹介も。
進行表(PDF)


3 音楽
・ 日和庵を通じて下関市の業者に依頼。マイク・音響と、ビデオ上映のためスクリーンをセット。
・ 選んだ音楽をCDにコピーし、進行表をもとにタイミングとかけるCDを番号により分かりやすく示す。
・ 主な音楽
  最初の歓談:エリック・クラプトン「The Best Of Eric clapton」(アルバム)
  2度目の歓談:ジャック・ジャクソン「Sing-A-Longs and Lullabies for the film Curious George」(アルバム)
  ケーキ入刀:アンジェラ・アキ「サクラ色、Again」
  お色直し退場:ジェームズ・ブラント「you're Beautifu」
  退場中歓談:ノラ・ジョーンズ「Come Away with Me」(アルバム)
  お色直し入場:ナタリー・インブルーリア「Torn」
  フォトサービス歓談:バンプ・オブ・チキン「ordital period」(アルバム)
  最後の歓談:山崎正義「セロリ、ワンモアタイム、未完成」
  新婦手紙、両親プレゼント:レミオロメン「3月9日」、バンク・バンド「to u」
  退場:齊藤和義「ウェディング・ソング」
  送賓:一青窈「ハナミズキ」、ビートルズ「let it be」
曲名リスト(PDF)


4 テーブルプラン


・ メインダイニングを会場、スペシャルルームを控室に利用。橙色が高砂で、厨房前に両家席を配置。
・ 当初もう1テーブル用意していたが、数名の欠席が出たため通路スペースの確保に変更。
・ メインダイニングの暖炉の上に、スクリーンを設置。


5 料理
・ 1万3千円の料理をオーダー。量よりも質を重視し、いい素材をたっぷりと。
・ 料理は余りがちだから、一品減らして質を上げてはとの提案を受けるが、少なかったという印象を恐れて断念。
・ 地元のトラフグを入れてもらったり、ベルーガキャビアにこだわったりしながら決めた最終プラン。
@ 3種の前菜盛合せ
A イベリコ豚のプロシュートと旬野菜のサラダ
B トラフグのカルパッチョと本マグロのカクテル ロシア産ベルーガキャビア添え
C 蝦夷アワビのスープ
D 伊勢海老のローストと洋野菜のグリエ レモンビネガー風味のソース
E フレッシュチーズとミルク風味のシャーベット ミカンのシャンパン風味のソースで
F 和牛ロースのグリエ シンプルな赤ワインソースで
G ゴールデンパインのムースとココナッツのサブレのミルフィーユ


6 引出物
・ 最もこだわったものでもある引出物。自ら選んだ、本当にいいものを贈りたいという思いで。
・ 海産加工物、萩焼、ケーキの組み合わせで、海産加工物は山口県長門市の松浦商店に出向き予算内のセットをいろいろと検討。萩焼は、好きな萩焼作家・五十嵐茂典さんの窯(山口県萩市明木)に行き、窯併設の作品置場から3時間かけ一人一人の焼物を選抜。ケーキは、行きつけのお店「宝来屋(山口県山口市)」で直接オーダー。
・ せっかくこだわりのものを贈るならと説明カードを作成。その引出物への思いと共に、作者の紹介等も合わせて。
萩焼引出物(PDF) (木箱入り、2割程度の割引価格)


7 その他
・ 写真は、ネットで見つけた広島を拠点にするカメラマン・梅村さんに依頼。写真のイメージ、手頃な値段、デジタルネガを全てくれるという点が決め手。式を挙げた防府から、宴の下関まで移動と一日お付き合いしてもらう。時間をかけたあらゆるシチュエーションでの撮影に、本当に写真が好きな人なんだと感心。そしてもちろん、できあがりはさすがはプロ。ついでに、ビデオ撮影も彼を通して依頼した。

・ 冊子「自由人hiroの今日もつらつら」は、作成期間2ヶ月のこん身の一冊。ホームページの内容を編集し、新たなページも加えて300Pの本を作る。全ての原稿、写真を作成し、地元の印刷業者に依頼したことで低コストに。100冊30万円。待ち時間の暇つぶしに読んでもらおうという目的と、値段以上に今しかできないという思いから。

・ プロフィール、席次表等も自作。地元の文房具屋「クロスランド」で上質紙を購入し、挨拶・プロフィール・出席者紹介・新居案内・席次表の5枚構成の綴りとする。出席者紹介には、一人一人思い出やつながりなどのコメントを添える。

・ プチギフトや名札置きは、山口市駅通りの雑貨屋「プチ・ピーナッツ」で購入。この店は、シンプルかつ上品なかわいさを持つ雑貨が多く、普段使いでもおすすめしたい。



                                                                      
V 支出
・ おもてなしの精神だから、当初から収支を合わすことよりも、満足度の高い内容を重視。特に、出席者が36人と人数が少ない分、固定費をまかなえきれない事情もあり。
・ 内容を見直し、友人に頼むなどすれば、ここから3割位はコストを落とせるだろう。
・ 日和庵での披露宴や、同じような感じの披露宴を考えている方の参考になればと、支出詳細を掲載する。
  出席者36人、収入1,350,000円、支出2,200,000円(冊子費用等特例的な支出は含まず)
・ 主要な支出
  プランナー料(当日アテンダント料込み) 105,000円
  装花(メインテーブル、テーブル) 59,000円
  食事・飲物 13,000円+2,500円/人
  ウェディングケーキ 21,000円
  音響機器(音響、スクリーン、プロジェクター) 68,000円
  引出物 6,200円/人(萩焼3,500円、海産物2,000円、ケーキ700円)
  カメラ・ビデオ 250,000円(写真アルバム105,000円、ビデオ94,500円、交通費等50,800円)
支出管理表(PDF)