プロローグ


旅決断


いつまでも一人旅に出られる環境も続かないだろうと、一つの区切りとして旅に出ようと考えたのは、少々早く9月の半ば。3年目となる今の仕事に、年末休みが取れることはほぼ確信。未だ訪ねていない、見ておきたい地を中心に候補を絞る。

東南アジアは、基本制した。世界の中心を踏みしめると意気込んで出かけた05年のニューヨークの旅で、北米大陸は見切った気でいる。となると、地域は必然的に絞られる。南米大陸、マヤ文明を擁するペルー、経済成長を遂げつつあるブラジル。アジア大陸、オリジナルの文化と経済成長著しいインド、世界を席巻した歴史により遺跡を多く持つイラン、3度の帝都として歴史を動かしたトルコ。アフリカ大陸、強大な国家で一時代を築いたエジプト、生き物の生態系が残るケニアが候補に挙がる。それぞれの地域の情報を見ながら、自分の影響を与えてくれそうでおもしろそうな地を基準に検討し、人類の起源地であり、生き物のあり方そのものを教えてくれそうなサバンナを擁するケニアと、アジアとヨーロッパ、キリスト教とイスラム教など様々な文化が入り交じり人類の歴史を刻んできたトルコを基本に考える。

人類の歴史を追うことを好む自分の旅に、ケニアが候補となったのは、ちょっとした事情もある。それは、アフリカを舞台にした小説「沈まぬ太陽(山崎豊子著)」を読み、その地が自分の心を動かすような場所だと確信を持ったから。ちなみに、次に読んだ「不毛地帯」により、アケメネス朝を代表する遺跡ペルセポリスに行ってみたいという思いが強くなり、検討したのがイランでもある。

イランは、同時期に日本の大学生が拉致されたこと、米国との関係が一向に改善されないことから、治安への確信が持てずに諦める。一方、ケニア。ここは本気で情報を集めるが、どうやらイラン以上、世界でもまれに見る治安の悪い地であることが判明。ケニアの首都・ナイロビでは、昼間でもホテルからの外出禁止。ホテル以外に安全なのは、ショッピングセンターのみという。マサイマラ国立保護区等サバンナに出ればそれほど影響もないけど、サバンナだけを4日滞在して終わりという旅内容に、ちょっともったいなさも感じる。そして、そんな事情からパックツアーでしか行けず、結果費用が高く、内容も制限されることから、候補から落とす。(追記:旅行予定期間の12月30日に、大統領選挙の結果を受け首都ナイロビで大暴動が発生し、多くの外国人が巻き込まれ国外退去へと追い込まれたことに、他人事とは思えない動揺と運の良さを感じる。)

主たる目的地をトルコ・イスタンブールとすることは、そんな事情により決定。それ以上に悩んだのは、そもそも旅に出るかどうかにあったりする。翌年の2月に結婚式・披露宴を予定。10月末から準備を始め、プロフィール、300ページに及ぶホームページを再編集した本、披露宴のシナリオ作成から、引出物選びに萩焼の窯元との打ち合わせや各関係者との調整と年内は毎日が準備の日々。1週間も旅に出ている余裕があるのかと、最後の最後まで決断できず。

最も時間がかかると見ていた本の作成に目途がついたのが、12月も半ばに入った頃。これで行けると確信。むしろ、トルコの写真を本の表紙に使ったらおもしろいと、新たな目的を持っての旅となる。






チケット探索


いつものように、ぎりぎりの選択に、チケット選択は限られる。楽天トラベルやヤフートラベルと、いつものようにネットで探索。直行便に空きはなく、フランスや香港経由とあるなか、ドバイ経由のエミレーツ航空を選択。エミレーツ航空の評判の高さとドバイという新興の地を見てみたいという思いから。値段は、航空券代165,000円に、サーチャージ等27,120円が加わり、192,120円。年末のハイシーズン、円安とサーチャージの動向を思うと、まあ許容範囲内ということで。



そして確定、旅計画


エミレーツ航空利用
12/25
関西空港23:15 ドバイ着05:55(12/26)
12/26
ドバイ発14:50 イスタンブール着17:40

12/29
イスタンブール発19:10 ドバイ着01:15(12/30)
12/30
ドバイ発02:50 関西空港着16:40


関空までは、新幹線を利用。深夜発とゆとりをもっての出発のため、大阪見学を行程に入れる。
ドバイでの滞在は、約9時間。この時間の使い方は、旅の途中で検討することに。






宿確保


今回一番苦労したのは、宿の確保。夜到着から、そこから現地で探すのはちょっと厳しい。また、トルコの宿事情が見えないことから、事前に予約することに。すっかり便利な世の中になったもので、まるで日本のビジネスホテルを予約する感覚で、海外ホテルを予約できることを知る。楽天トラベルを利用、日本語で書かれた宿情報や評判と値段を比較しつつ、絞り込む。

ホテルの値段は、日本とほぼ同じ感じ。ビジネスホテルクラスで立地や仕様により6千〜2万円程度、ミドルクラスで2〜4万、ハイクラスで4万〜といったとこ。なるべく宿に金をかけない主義も、利用時期が迫っていたため、空きがほとんどないという状況。観光の行程と値段により絞ったホテルの立地を何度も組み合わせながら地域を決定、ホテルの評判も加味し、宿を選ぶ。できれば3泊を同じ宿にしたかったけど、空き状況により最初の2泊と最後の1泊の宿を変えることに。

日程  12/26(チェックイン) − 12/28(チェックアウト)
ホテル ヒッポドロームホテル(スルタンアフメット地区)
料金  40ユーロ(6,600円)×2泊
代理店 楽天トラベル

日程  12/28(チェックイン) − 12/29(チェックアウト)
ホテル ピアノフォルテホテル(バザール地区)
料金  47ユーロ(7,750円)×1泊
代理店 ホテルトラベルドットコム






旅準備


チケットと宿を確保する段階で、大体の行程が決定。日程は6日間も、実質滞在は4日というところ。最大で、トルコとエジプトやケニアを組み込んだフリープランを基本とするツアーがあったが、最低年内に帰国しておきたいという事情と、落ち着いて観光できそうにないことや自由に散策しおいしいものを食べに行きたいという思いからパス。日程が決まった後は、首都イスタンブールを中心に、どこを見て回るかを検討。カッパドキアやアンカラ、エーゲ海といった他の都市を加えることも考えるが、限られた日数、イスタンブールをじっくりと歩いて回りたいという思いから、イスタンブールのみの滞在とする。

旅の準備は、トルコの情報収集から。気候は、東京と同じくらい。12月は、気温が5度程度で、雪が降ることもあるという。となれば、普通の日本の冬を想定すればすみ、特に服の心配は必要なさそう。お金の価値を適度に覚え、クレジットカードも普通に使えそうだから、現金の準備は特にせず。トラベラーズチェックの必要性はこれまでも感じたことがないから、同じく用意せず。スーツケースは、ニューヨーク旅行時に使用したものがあり、新たに購入したものは、文庫本や消耗品が中心となる。


こんな感じで、さてさていよいよ旅立ちへ。





                                                                       






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暑さに陰りが見え始める9月も半ばを過ぎた頃、この年末はどこに行こうかと考え始める。
そろそろ、海外一人旅も打ち止めの時期に近づいていると周りの空気を察しつつ、まだ見ぬ地で、世界のありようを直接肌で感じてみたいと、いつもの思いが自分を動かす。
これが一つの区切とするなら、どこの街を訪ねてみたいか。行き着いたのは、多くの覇権の舞台となり、アジアとヨーロッパの二つの顔を持つ街、トルコ・イスタンブール。人類が求めた永遠の都へ、足を踏み入れる。
オリエントの世界に魅せられて 
07年12月25日−30日  in インスタンブール