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長崎ぶらり旅日記 3
グラバー邸
長崎の町の移動手段は、路面電車。
一乗り100円で、乗り換え可能なため、線路が続く限りどこまでもいける。
町の中心部を十字で割るような走っていて、主要な観光地そばに下りることができる。
なかには、電停から歩いて4,500m先なんてこともあるけど、情緒ある坂道に囲まれた長崎の街は不思議と歩いて苦にならない。
電車道から外れた先は、バスがカバーしていて、上手に移動が可能となる。
なにはともあれ、まずは地図を頭に入れ町の全体像を知っておくことが大切かなとは思うこと。


石橋電停前より、路面電車を正面で。


自分の中じゃ、基本旅先の歩き方は決まってて、まずガイドブックを基に事前に目的地を見定め、行き方をイメージする。
歩き出したらよいよ迷わない限り、地図は開かない。
目的地の場所と行き方さえイメージできてれば、いずれ着くもの。面白そうなとこがあったら寄り道したり、違う小道を歩いたりと後は自由気ままに散策する。そもそも方向感覚は危ういから、いつまでも目的地に・・ってこともままあるけど、まあ、それもまたよし。

思うに、この散策を楽しむ条件。
@時間に余裕があること
Aひとりであること
人について迷うなどたまったもんじゃない。自分だから諦めもつき、許せる。それを加味して予定を柔軟にいれてるから、問題ない。そんな自由(わがまま)に動くには、やっぱりひとりじゃなきゃ難しいと心底思うとこ。

とまれ、歩いてよし、乗ってよしの歴史ある商業地、長崎をさて堪能することとしようかな。

市街の移動手段
グラバー邸があるのは、山手の住宅街、いわゆるグラバー園の一角となる。
安政5年(1858)、鎖国が終わり長崎が自由貿易港として開港後、成功した外国商人達が山手に建てた住宅街といったところ。
そこには、グラバー住宅から、オルト住宅、リンガー住宅と旧宅が連なる。

グラバー邸といえば、いわずと知れた英国商人トーマス・グラバーの館。
坂本竜馬と友好を持ち、亀山社中との貿易相手でもある。
長州が薩長同盟後亀山社中を通し、最新式の西洋銃を購入したのもこのグラバーから。
高杉晋作自身がグラバー邸に出向き、交渉を行ったという。
そんな空間を共有したく、何の気なしに通り過ぎた過去2回とは気持ちを新たに、3度目の来訪。


石橋電停で降り、03年完成したというグラバースカイロードなるエレベーターに乗り、グラバー園へ。
エレベーターというのがみそで、外の景色は所々にある壁をくりぬいた丸枠から見える程度。
しばしの時間、コンクリートの壁を眺めなきゃいけないのが、景色のいい場所だけになんとも残念。


スカイロード着いた先からの景色。
港を中心に斜面に囲まれ、凝縮されたような街の姿が見て取れる。


着いた先は第2ゲート、つまりグラバー園の一番の高台となる。
ここから坂を下りる要領で、第1ゲートに向かう寸法。
第1ゲートからの往復ルートを考えると、片道となり便利にはなったのかなと思うとこ。



ということで、見学順に紹介していくこととする。
@旧三菱第2ドックハウス

     

1896年、三菱重工長崎造船所第2ドックの側に建てられた洋館で、明治期建築の典型的スタイルだとか。当時は修理船の乗組員の休憩宿泊施設として利用されていたのだとか。
きれいな白壁の洋館で、中では帆船模型が飾られ船の歴史を見ることができる。
庭も西洋ガーデン風に造られ、そこから見える長崎の町並みはまた情緒あるところ。
一番の高台だから、園内ではここからの景色がベストだといえるとこ。



A第一壁泉



ドックハウス下に位置する、壁泉。
七色に輝く壁が美しく、石彫りの壁のコントラストと併せ、見入ってしまうとこ。



B自由亭

     

1878年に西洋料理店「自由亭」として馬町に新築開業し、内外の貴賓、地元高官の社交の場として使われた店。現在喫茶店として使われている。内部はファンを使った赴きあるつくりも、外からの見学のみのため写真はこれのみ。



Cリンガー邸                    Dオルト邸

     

南欧風バンガロー形式の木造住宅と、タスカン様式の列柱が高い天井を支えるそれぞれの西洋建物。内部は絨毯がひかれ、当時の内装を見学できる。長崎の西洋館は、横浜等と異なり、日本人が西洋様式を真似建築している。西洋建物に瓦やひさしが使われるなど、日本の様式が混ざっているのがおもしろい。



Eグラバー邸

     

スコットランド出身グラバーは、1859年21歳の時開港と同時に長崎に来日、グラバー商会を設立。幕末の激動の時代の中、坂本竜馬を始めとする志士達を陰で支え伊藤博文らの英国留学を手伝うなど多大な支援を惜しまなかったことで有名。明治以降は経済人として、日本の近代科学技術の導入に貢献している。
グラバー商会は、明治後に倒産するも、その後長崎に進出した三菱率いる岩崎弥太郎の誘いで三菱商会の顧問に就任。経営指南とともに、キリンビール前身となる会社を興すなど活躍した。

建物は、江戸時代末期に建てられた日本最古の木造洋風建築で、国の重要文化財に指定されている。建物の価値以上に高いのが、そこで起きた事実。当時の雰囲気を、その場で味わえるその内装を紹介。

     
左:寝室  ベッドと西洋調度家具が並べられている。
右:ダイニングルーム


     
左:応接室  来訪者と面会した部屋。ここに多くの志士が訪ねたということかな。
右:来客時のパーティールーム  当時の西洋料理が再現されている。


     
グラバー邸内にある屋根裏の隠れ部屋。
邸を訪ねた志士を幕府の取締りから逃れさせるため、逃げ道を作っていた。
隠れ部屋は天井にあり、階段を使い上がることができる。現在は鏡で中の様子が見れる仕組みに。
確かここに竜馬もかくまれてたはずと、振り返ってみる。
詳しい形は、解説版を写したからそれを参考に。


屋根裏部屋解説写真。



グラバー邸入口。
見事に咲いたサツキは写真に入らずも、整えられた木々に囲まれた庭園となっている。

グラバー園からの市街全景
グラバー園へ向かう通り
長崎の魅力は坂。
海のすぐ奥に山を持つ人間の知恵が作り出した、街。
石畳をひいた情緒ある坂がここでも見ることができる。
坂の先に大浦天主堂が、そしてそのさらに奥がグラバー邸となる。
異国情緒あふれるその街並みは、歩くだけでわくわくさせるそんなところである。

ここを下った先が、大浦天主堂下電停。
さて、次の目的地へと出かけることとしようかな。

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