Ⅸ 番外編(②サエラモデルハウス)


安成・サエラモデルハウス


安成工務店の家の特徴をつかむなら、サエラ展示場(山口市)のモデルハウスを見るに限る。モデルハウスのため、延床面積や、各部屋のサイズ感は現実的な家より大き目な造りとなっているが、無駄に豪華に見せる家ではなく、暮らしやすい生活をイメージさせる考え尽くされた間取り、シンプルな造りの中に漂う上質な質感を持つ、まさに安成工務店(=三浦設計士)の思い・意思が凝縮された家となっている。

ここに足を一歩踏み入れ、何も感じないならば、まず安成工務店の建てる家とは相性が合わないと思った方がいい。他のパターンもあるからという住宅会社ではなく、この雰囲気をベースに、土地、希望の間取に応じた創意工夫の設計で造り上げるところだから。

住宅に限らず、物事の購入を決める最終的な判断基準は、好き嫌い、相性だと思う。いくら、素晴らしい腕の大工が銘木をふんだんに使用しても、世界的な設計士がデザインしても、圧倒的なローコストで費用対効果に優れた家でも、それが自分の感覚に合わなければ、何よりも大きな負の要因となる。その相性とは直感であり、どんな人の評価も当てにならない、自分で体感しなければ分かり得ないこと。

安成工務店のセンスは、ここで体感できる。現実に落とし込んでイメージできるから、間取のパターンがなく、一つ一つ家ごとに間取をゼロから作り上げる安成工務店にあって、サエラモデルハウスを小さくした形で建ててほしいという依頼が多いのだろう。

他地区のモデルハウス、完成見学会といろいろ安成工務店の家に触れる機会はあるが、まずは原点のサエラ展示場を一度訪ね、相性を確かめてみてほしいと思う。



(1)モデルハウス間取図
saerayasunari1.jpg
・延床面積:49坪(1階 33坪、2階 16坪)
・事務室、家事室、ラウンジのスペースを削れば、現実的な家の形が見えてくる




(2)外観・外構

  
左:他のモデルハウスと一線を画しているのが、外構の素晴らしさ。安成工務店御用達の坂本造園(山口市陶)によるもので、リクシル等のメーカー既製品や畑育ちの木は使わず、創意工夫で庭をつくりあげていく職人をそこに見る。
中:辺りが暗闇に包まれてくると、コイズミ照明による温かな光が漏れてくる
右:玄関ポーチから、奥へと続く庭、ウッドデッキを見通せる造り。屋根が覆うポーチの片側に設置された物置は、使い勝手が良そう。




  
左・右:和室前、砂利敷きの庭に、オリジナルの沓脱石を置く。ここまで軒が深いと、ウッドデッキも長持ちしそう。
中:庭から、和室を通して室内を眺める。




(3)玄関・リビング・ダイニング

      
左:家族用玄関兼収納で、ウォークスルーで室内に入れる造り。使い勝手のいい玄関収納は、安成でも多く採用される間取の一つ。規模の大小はあれど、造作の棚とハンガーパイプの仕様に、靴やコート、傘置場で活用したい。
中:和室を客間利用するなら、玄関から直接入れるこの間取がおすすめ。玄関に近い分、日常使いの部屋としてはその距離をどう埋めるかが課題。
右:リビングと一体でつながる和室。隠しふすまを閉めることで個室となり、客間としても利用可。無垢唐松の床と畳エリアが自然につながる雰囲気がいい。




  
右:玄関ホールから、リビング、ダイニングを見渡す。無垢唐松の床の感触が気持ちよく、いつもここでは裸足で過ごす。天井高は2300㎜と高さを抑えた設計。その分、腰壁やソファ等も高さを抑え、空間の広がりを演出する。床座の感覚で使用できる座面が広く、品のあるこのソファは、アカセ木工(岡山県)のデニッシュソファ。その他、安成工務店の家でよくコーディネートされているのは、飛騨産業森のことばソファ。いずれも値段が良すぎて、採用できそうにないけど。
中:安成工務店の代名詞にもなりつつある、全開口のリビング掃出し窓。全開口による開放感は代えがたく、大きな価値を感じるが、十分に葛藤するだけの値段でもあるので、悩ましい。木製サッシは、さすがにモデルハウス以外で見たことがないけど。
右:リビング、玄関ホール、和室のつながり。間仕切りなく、一つの部屋としてつながる造りで、一方、引戸を使えば、それぞれにプライベート空間ができあがる。




  
左:キッチンを司令塔に、ダイニング、リビングを見渡せる造りを目指したのは、ここのイメージがあったから。動きやすく、使いやすいキッチン横のダイニングテーブル、水回り、階段との距離と、キッチンを中心としたそれぞれ配置のバランスがすばらしい。
中:キッチンと造作食器棚の距離は、モデルハウスサイズのため広めで、使い勝手面からも1m確保すれば十分だろう。無垢床に映え、スペースが限られるキッチン周りを有効活用できる造作食器棚は採用したい。ブラックチェリー多用はここのみで、標準では杉板の内部と、シオジの扉が使用される。
右:リビングに広さが取れれば、キッチン横にダイニングテーブルを置けるが、通常サイズの家ではなかなか難しく、間取を考える上で一番苦労したこと。




(4)洗面所、脱衣所、風呂

      
左:キッチン裏の家事室。あればいいけど、このスペースを確保するのは現実的には難しい。
中・右:洗面所と脱衣室、バスルーム。独立の造作洗面所は、よく採用されているから、ここの仕様は参考になる。バスルームは、タイル張りのオリジナル。掃除等メンテナンス面からあまりおすすめでなく、このモデルハウスの中でも少し違和感のあるエリア。




(5)(2階)ホール、子供部屋、主寝室

  
左・中・右:2階は、階段をあがったところがホールになり、ワークスペースも設置。こもらずに済む、独立感のある書斎として参考に。景色が広がる階段窓は、取り入れたい間取の一つ。




   
左:ワークスペース。
中・右:子供部屋。将来仕切れる仕様で、子供が小さなうちは、ワンルームとして遊び部屋に使用。



      
左:引戸を開けることで、ホールとつながるベッドルーム。なるべく仕切りを減らし、室内を広く見せるには、引戸の利用が便利。
中:子供部屋から、吹抜けを通じ、1階を見下ろせる。キッチンから2階に声をかけたり、2階の様子を1階で感じることができる。
右:品のある階段を紹介したくて、最後に。




                                                                         






家造り記
2014年12月完成 安成工務店
Ⅰ 方向性 Ⅱ スケジュール Ⅲ 土地 Ⅳ 住宅会社 Ⅴ コンセプト
Ⅵ 住宅会社決定 Ⅶ 住宅工事 Ⅷ 完成見学会 Ⅸ 番外編 Ⅹ コメント
足掛け6年、住宅会社と、そして土地と出会い、思いを形へ
居心地・使い勝手の良い、居住空間としての本質を追求した間取りに、安成工務店のセンスと技術が息吹を吹き込む
①エコビルドツアー ②サエラモデルハウス ③表札