Ⅵ 住宅会社決定①(決定)


7 住宅会社決定

住宅会社を絞り込む中、理想に近い家造りが期待できるが価格面に大きな開きが予想される安成工務店を本命、使用する材料・腕は安成に見劣りせず対応の柔軟性に優位性を持つがデザイン・センスに劣る銘建を対抗、無骨なデザイン・雰囲気がもう一つ受け入れ難いが2社と比べ価格面に優位性を持つ原工務店を隠し玉に位置付け、安成工務店と銘建の2社にコンセプト資料・間取図を提供し、具体的な打合せを開始する。

耐震性、耐久性、維持管理・更新の容易性、省エネルギー性(断熱性)等に一定の水準を求める長期優良住宅認定を条件としたから、おのずと建物のレベルは保証される。材料レベルを下げれば、価格が下がるのは当たり前だから、必要な機能を確保するための材料は同等に変更。例えば銘建であれば、断熱材を発泡ウレタンのアクアフォームに、サッシを樹脂・アルミ複合サッシに、床材を無垢唐松にといった具体に。

ベースとなる間取りが同じで、使う材料も同レベルに揃えたなら、当たり前ではあるが同程度の価格になるから感心する。つまり、大手住宅メーカーならいざしらず、地元工務店レベルの住宅価格の高低は使う材料の違いにあり、不要なコストの跳ね返りがない、そのまじめな姿勢に好感を持つ。



半年間検討を重ね、結局決めたのは、安成工務店。ただ、この決定に至るまでには、紆余曲折がある。

通常のパターンと違うのは、基本的にこちらが間取・仕様を示しているため、そこに大きな違いがないこと。そのため、最終決定には、価格面の要素が大きな比重を占めることに。

銘建の魅力は 同程度のものを建てながら、総額を低く抑えられること。当初提案から、様々な調整と価格交渉を経て、予算総額3千万円に収まる目が見えたときには、その価格が了承されたなら建築を依頼する旨を伝えた。一部仕様は安成に劣るところもあるが、補助金適用対象となることから、総額が大きく抑えられる。長期優良住宅補助金で100万円、またはゼロエネ補助金で165万円適用される可能性があり、両補助金の中小工務店条件を満たすのは、銘建のみという状況。また、太陽光発電設置により、ランニングコスト削減どころか、費用負担以上の収入が見込めることも大きな魅力。

それでも、最終的に安成工務店を選んだのは、銘建社内で価格の了承が得られず、50万円の引き上げを求められたことから。デザイン・センスという居心地を重視するコンセプトの要に信頼を持てない中、銘建を選んだのは、標準仕様の変更により求める水準に近い品質を確保したこと、設計・デザインの柔軟な対応からこちらの提案・コントロールで求める雰囲気に近づけると考えたこと、そしてそうした未知の部分に対する不安を、価格の魅力で抑え込んだことから。総額のうち2%にも満たない50万円という金額ながら、条件の変更は、抑え込んだ思いが決壊するに十分な破壊力があった。

安成工務店には、銘建との最終調整が滞ったところで、条件を含む再調整を行い、了解が得られたことで建築依頼の最終決定を伝えた。
・安成工務店が推奨する、冬場に家全体をほんわかとした暖かさが包む太陽熱床暖房システムのOMソーラー。100万円補助キャンペーンで、実質85万円で設置可能にも関わらずこれを取り止め、ガス補助暖房による床暖房システム(50万円)のみに変更。下関市の安岡エコタウンにあるモデルハウスで、12月の雪の降る日に宿泊体験。冬場の寒さはOMソーラーだけではしのげず、OMに付属するガス補助暖房の必要性を痛感。それなら、そもそもガス補助暖房だけの床暖房システムで、求める効果が得られると判断。

・それ以上に、OMをやめた理由は、屋根を空けることが一番の目的。銘建の魅力であった、太陽光発電設備の設置を安成工務店で実現する。安成は付き合いのある設備会社を通じたシャープ製設置を推奨(住宅工事に合わせた設置が可)するが、太陽光発電設置に経済的メリットを求めるから、別会社への発注を了解。

・結果的に採用はしなかったが、トイレ、洗面化粧台、エコキュートの施主支給の対応を了解。

・追加条件等を含めた最終見積額に対し、100万円未満の端数切捨てを了解。 ※結果、引き上げ後の銘建と同額に

なお、原工務店は、2社の見積額が思ったより落ちない終盤で、第3の選択肢として検討を始めたが、現場見学会での担当者との会話で、規模が同じなら値段はそう変わらないとの発言を得、それならわざわざ時間を割くこともないとさっさと検討をやめてしまった。




                                                                         






家造り記
Ⅰ 方向性 Ⅱ スケジュール Ⅲ 土地 Ⅳ 住宅会社 Ⅴ コンセプト
Ⅵ 住宅会社決定 Ⅶ 住宅工事 Ⅷ 完成見学会 Ⅸ 番外編 Ⅹ コメント
2014年12月完成 安成工務店
足掛け6年、住宅会社と、そして土地と出会い、思いを形へ
居心地・使い勝手の良い、居住空間としての本質を追求した間取りに、安成工務店のセンスと技術が息吹を吹き込む
①決定 ②安成魅力 ③契約内容 ④住宅仕様 ⑤追加設備 ⑥間取図 ⑦住宅設備